教員は4分の3に削減される一方で、3人だった副学長は8人に、5人だった副理事を8人に増員された。そして役職者に就くのは文部科学省からの出向者やOB——。福岡教育大学で実際に起きた“異変”だ。ここ10年ほど、日本全国の大学で、耳を疑うような事件が頻発している。2000年代以降に行われた国立大学の法人化や国の法改正により、政財界や大学経営者の権力が強化され、教職員や学生の立場は弱くなり続けている。その一端をレポートする。 (*)本稿は『ルポ 大学崩壊』(田中圭太郎、ちくま新書)の一部を抜粋・再編集したものです。 教員を大幅に減らして、役職者を増やす 「文科省から出向してきている役職者も含め、大学の規模から考えると、他大学よりも多い役職者数になっています。その一方で、法人化前と比べると、大学の常勤教員の数は約3割削減されました。採用が抑制されていることで、教員は多くの業務に疲弊しています」 こう