30代のリアル 本書はいわゆる「失われた20年」に青春期を過ごして、就職時には氷河期だった30代の人々へのインタビュー集である。現在における30代の人々はバブル景気の中で幼少期を過ごし、学歴重視や大手企業信奉の非常に強い時期に青春を過ごしている。それでいて、バブルが崩壊した1991年には親の経済状況が悪化してく様子に気づいたり、空前の就職氷河期を経験させられるなどの「落差」を味わう事にもなった世代でもある。 企業も国際競争に巻き込まれ、合理化や効率化を余儀なくなれるなかで非正規雇用の割合が増えていき、「ニート」という言葉が出始めたのも、ちょうど私が就職活動をしている頃であった。リーマン・ショック以後や震災以後に就職活動をしている世代の方がよほど大変だったという議論もあるが、単純な就職率だけを見ると今の30代が経験した就職氷河期の方が低い。現代であれば「非正規雇用」は「仕方ない」という感覚を