生体がもつ免疫システム(抗原抗体反応)を利用して、病気を治療する医薬品のこと。従来の合成医薬品は、標的となる細胞や分子以外にも作用してしまい、副作用が起こるリスクがあった。それに対して抗体医薬品は、ひとつの抗体がひとつの標的(抗原)だけを認識する特異性を利用するため、病原体や異物などの標的をピンポイントで攻撃することができ、副作用の少ない効果的な治療薬として注目されている。現在ではがんやリウマチなど、従来は有効な治療手段がほとんどなかった難治性疾患のほか、各種の感染症、喘息、クローン病など、様々な病気に対する抗体医薬品の開発が進められている。ゲノム解析や遺伝子工学などの最先端技術を活用し、さらに抗体医薬品の可能性が拡大していくことが期待されている。 1948年生まれ。1977年、東京大学大学院博士課程修了後、協和発酵工業入社。2000年、医薬総合研究所所長、常務取締役総合企画室長などを経て