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映画に関するsakstyleのブックマーク (371)

  • 悪を裁けるのか、刑事たちは ――『殺人の追憶』(韓国、2003年) : Days

    見:Amazon Prime Video Info:filmarks/IMDb これを見るまで気づかなかったが、初めてのポン・ジュノ映画。今年は意識的に韓国映画を手広く見ているのでちょっとずつ見ていかないとなあとは思っていたけど、最初に見たのがこれで良かったと思う。80年代に現実の韓国で発生した連続強姦殺人事件をモデルにした事件で、映画の設定も1986年。そして現実と同様に犯人は捕まらないまま時が過ぎる(現実では最後に犯人は捕まるが、映画のあとであり別件逮捕)。 最初はソン・ガンホ演じる主人公のパク刑事の立ち居振る舞いに注目が集まる。良くも悪くも「田舎の刑事」というか、太っていて居丈高で、タバコをプカプカさせ、自宅のアパートでは美しい恋人と濃厚なセックスをする(最初愛人だと思っていたが後に結婚している)。そういうタイプの、そのへんにいそうな太っちょおじさん刑事が、連続強姦殺人事件を追えども

    悪を裁けるのか、刑事たちは ――『殺人の追憶』(韓国、2003年) : Days
    sakstyle
    sakstyle 2025/05/15
    「暴力に対してできることは多くないかもしれないが(...)この映画では、最初粗暴だったパク刑事が自分の粗暴さを何とかこらえて、こらえて、こらえようとしたその姿がずっと、目に焼き付いて離れない。」
  • 「社会からの逃亡」を果たした青年信者の空虚さ ――『A』(1998年) : Days

    見:Amazon Prime Video/ filmarks 「まとめ役ができないんだったらもう社会に出て、一般のところに入って、一生懸命働けばいいのよ(中略)。立派な会社じゃなくたっていいじゃない汗水垂らして働けばいいのよ。頭のいいあなたがやることじゃないのよ」 ――頭がよかったらいったいどういうことをやればいいんですか? 「人の上に立つ人間になったらいいじゃない」 これはポスト95年のオウム教団のドキュメンタリーであり、というかそう見るべきなんだろうけれど、Aというタイトルにも表れているように荒木浩という一人の青年信者であり広報担当だった彼の過ごした1996年をみつめ続けるドキュメンタリーでもある。オウム教団の全体像を「あえて撮らない」ことでこの映画が成立していると考えた方がよい。 まず映し出されるのが荒木の事の風景であることからも分かるように、犯罪者であり加害者としてのオウムを描き

    「社会からの逃亡」を果たした青年信者の空虚さ ――『A』(1998年) : Days
  • 見るべきリアルと、投げかけられた問い ――『プリズン・サークル』(2019年) : Days

    見:第七藝術劇場 公式サイト/filmarks 制作が2019年、公開が2020年の映画だが監督が語るように構想から完成までは10年ほどの時間を要したようだ。報道が刑務所や少年院の特集を組むため、塀の中にカメラが一時的に入ることは日でも珍しくなくなっているが、約2年間の長期密着というのは監督が語るように前例がなく、法務省や当時の島根あさひの刑務所長がよく許可を出したなというのがリアルな感想だった。例えばあくまで許されているのは撮影のみで。受刑者への個別インタビュー場面でもスタッフの音声がカットされてたのは印象的。もちろん雑談や接触もダメ。完璧に一線引いた上での撮影が一貫している。 自分が法務教官として働いたのは2018年4月からの1年間だが、もしかしたらこの映画の撮影期間と被っている、もしくはそう遠くないなという思いはあった。2020年にこの映画をあえて見なかったのは、そういう「近すぎる

    見るべきリアルと、投げかけられた問い ――『プリズン・サークル』(2019年) : Days
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    sakstyle 2025/04/01
    「自分が法務教官として働いたのは」そんな仕事もされてたの?!/「約2年間の長期密着」「更生を目指す若い受刑者の姿と、出所後に生まれる別の苦悩」「社会はどのような形で元受刑者を受け入れれば良いのか」
  • 遠いところにいる観客の一人として見る、ということ ――『ノー・アザー・ランド』(パレスチナ・ノルウェー、2024年) : Days

    見:TOHOシネマズなんば/filmarks 近くの席にいた若い男性ずっと涙堪えてたし、おれも外に出たら一気に涙が溢れてきた。これは多分悲しさというより、クソったれなイスラエルに対する怒りの涙だろうと思う。 この映画の残忍が映像、取り分け民間人に銃を向ける映像や家々が文字どおり破壊される映像を見ながら、去年の夏に見た『マリウポリの20日間』のこともずっと考えていた。記者やカメラマンの多くがロシアやイスラエルの犠牲になっていることは頻繁に報じられている。だからよく命がけでこの映像を世界に発信してくれたと思う、というか気持ちだった。それくらいイスラエルのやっている事はロシアと何一つ変わらない(政治的な立場の違いはあるとしても)。それくらいあまりにも非人道的すぎる映像が続いていく。 法的な妥当性を盾にするイスラエル軍の兵士と、基的人権を盾にするヤッタの人たち。家が一つずつ壊された結果、移住せざ

    遠いところにいる観客の一人として見る、ということ ――『ノー・アザー・ランド』(パレスチナ・ノルウェー、2024年) : Days
    sakstyle
    sakstyle 2025/03/31
    「クソったれなイスラエルに対する怒りの涙だろうと思う」「去年の夏に見た『マリウポリの20日間』のこともずっと考えていた」「しかし多くのことが言えないなと思うのはその距離の遠さだとも思う」
  • 「ヒトラーのため」とは何だったのか ――『ヒトラーのための虐殺会議』(ドイツ、2022年) : Days

    見:Amazon Prime Video 公式サイト/filmarks タイトル通り、会議映画である。1942年1月20日、ベルリンで行われた「ヴァンゼー会議」をフィクション化したものであるため、約2時間あるもののたった一日で映画は終わる。参加者と関係者が暗い湖畔の館に到着して、その館を去るまでの詳細を映像化するのがこの映画プロジェクトである。また、「ヒトラーのための」とあるがヒトラー自身は参加していない。もっとも有名な参加者はアドルフ・アイヒマン、あるいはラインハルト・ハイドリヒだろうか。 この映画、というかこの会議は「ヒトラーのための」が非常に重要で、総統閣下が存在しないことから「ヒトラーのため」とは何なのか? について細やかな議論が行われる。議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」であるが、イギリスなどの敵国を含めると約1100万人のユダヤ人がヨーロッパ全土にいると言う。その範囲まで

    「ヒトラーのため」とは何だったのか ――『ヒトラーのための虐殺会議』(ドイツ、2022年) : Days
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    sakstyle 2025/03/27
    1942年1月20日に開催された、「ユダヤ人問題の最終的解決」を議題とする「ヴァンゼー会議」をフィクション化したもの。ヒトラーは参加しておらず、制服組と背広組が対立しながら検討していく過程。
  • 伝統継続の困難さと模索、トリックスターとしての訪問者 ――『駒田蒸留所へようこそ』(2023年) : Days

    見:Amazon Prime Video 公式サイト/filmarks 2011年放映の『花咲くいろは』以降、3,4年に1のペースで作られてきたP.A.WORKSお得意の朝ドラ……じゃなくてお仕事物アニメ。『白い砂のアクアトープ』までの4は長野を舞台にした家族経営のウィスキー蒸留所を巡る物語。また渋い題材にしたなあと思って調べてみたところ、富山県に実在する蒸留所をモデルにしてアニメに仕立てたようで、だからこそやたら細かいこだわりに満ちているんだな、ということもよく分かる一だった。 家族経営で代々続く駒田蒸留所だが、長年の営業不振や地震による破損なので、事業の継続自体が難しくなっていた。美大に進学していた駒田琉生が父の死をきっかけに大学をやめて帰郷、社長の座を継ぐことになった。クラウドファンディングなどを活用して設備投資を行い、新たな商品の開発はできたものの、多くのウィスキーファンが望

    伝統継続の困難さと模索、トリックスターとしての訪問者 ――『駒田蒸留所へようこそ』(2023年) : Days
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    sakstyle 2025/03/27
    ああ、これ、P.A.のお仕事ものか。テレビシリーズではなく「100分ほどの小さい映画」/高橋のアウトサイダーなポジは松前緒花的、1つの製品を完成を目指す点は『SHIROBAKO』的/P.A.のノウハウや経験を活かした完成度、と
  • “教皇選挙” - three million cheers.

    “Conclave” Director : Edward Berger UK,US, 2024 限定された空間と登場人物に絞って展開する映画で、自分としても好きなタイプ。 あらたなローマ教皇を選出するために枢機卿たちがシスティーナ礼拝堂の密室でおこなう教皇選挙(コンクラーベ)のプロセスを描く。 相容れない思想を持つ有力候補者たちと支持者の思惑と陰謀、前教皇に招かれた闖入者とその謎、隔絶された建物の外で起こる事件、そして新教皇誕生後に明かされる意外な事実、といったあたりが構成要素。 3分の2以上という必要得票数に達するまで投票が続き、投票のたびに優位の候補者が入れ替わっていく選挙のダイナミズム。入れ替わりがスキャンダルの暴露によって進行していくという点が、この映画がサスペンス/スリラーに区分される所以だが、最終的にスピーチによってこの流れが覆されて新教皇の選出に至るということで、枢機卿たちの

    “教皇選挙” - three million cheers.
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    sakstyle 2025/03/27
    これ、やたらヒットしてるよな
  • 地方映画史研究のための方法論(46)メディア論と映画⑦大久保遼のスクリーン・スタディーズ|佐々木友輔

    見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る4──映画の記憶とメディア考古学の旅2025年3月14日(金)から16日(日)まで、元映画館(荒川区東日暮里3-31-18 旭ビル2F)にて展覧会&上映会「見る場所を見る4──映画の記憶とメディア考古学の旅」を行います。鳥取を舞台に進めてきたプロジェクト「見る場所を見る」のこれまでの歩みを振り返る作品展示「鳥取の映画館の記憶──イラストレーション・ドキュメンタリー」に加え、地方都市の盛り場5ヶ所の映画館跡を巡る新作映画『ファントムライダーズ』の上映とトークイベントも実施予定。この機会にぜひご覧ください。 ある日偶然見つけた大量の映画チラシと一冊の。そこには日各地の映画館を巡ったエッセイが綴られていた。「私」にとっては、一度も訪れたことのない場所で上映された、一度も見たことのない映画のはずなのに、なぜか初めて見た気がしな

    地方映画史研究のための方法論(46)メディア論と映画⑦大久保遼のスクリーン・スタディーズ|佐々木友輔
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    sakstyle 2025/03/11
    大久保遼『映像のアルケオロジー——視覚理論・光学メディア・映像文化』について/映像文化をスクリーン・カルチャーと訳し、19世紀のスクリーン実践を扱う。日本の急速な近代化、磐梯山撮影、連鎖劇、キネオラマ
  • コロナ禍に社会化されてゆく子どもたちをみつめる ――『小学校〜それは小さな社会〜』(日本・アメリカ・フィンランド・フランス合作、2023年) : Days

    見:ホール・ソレイユ/filmarks 2025年の映画館1目。最初は去年見た『14歳の栞』のように、あるクラスを定点観測するものかなとぼんやり思っていたが、まったく違うなという感想を持った。日語サブタイトルに「それは小さな社会」となっているが、英語原題はもっと直接的に"THE MAKING OF A JAPANESE"である。「一人の日人を作る」とそのまま訳すると露骨すぎるからか、日語だと「社会」という単語に変換されているが、日人化する=社会化する、とナチュラルに当てはめるところも十分露骨だなとは思った。 小学生は世界中にいるし、小学校は世界中にあるだろう。しかし、多くの小学校が実践しているのは一人一人を教育することであり、「社会化」しているわけではないと思う。もちろん学校という集団生活を「通して社会化される」ことはあるかもしれないが、それはあくまでプロセスの中でどのように変容

    コロナ禍に社会化されてゆく子どもたちをみつめる ――『小学校〜それは小さな社会〜』(日本・アメリカ・フィンランド・フランス合作、2023年) : Days
  • 地方映画史研究のための方法論(42)メディア論と映画③ポール・ヴィリリオの速度学|佐々木友輔

    見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉さんが加わって、第2弾の展覧会(米子・境港市内編)、米子市立図書館での巡回展「見る場所を見る2+——イラストで見る米子の映画館と鉄道の歴史」、「見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」、「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画歴史」を開催した。 2024年3月には、杵島和泉さんとの共著『

    地方映画史研究のための方法論(42)メディア論と映画③ポール・ヴィリリオの速度学|佐々木友輔
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    sakstyle 2024/12/26
    フロントガラスごしに見える風景を「第七芸術」と/ラジオや映画と自動車や飛行機は空間的距離を除去するという点で同じ「速度の機械」(走行光学装置)戦争における映像(諜報的な意味で)、常時性と即時性
  • 「ソウルの春」がもっと面白くなる!韓国現代史の名作映画まとめ

    8月23日にいよいよ日公開される大ヒット韓国映画「ソウルの春(原題:서울의 봄)」。全斗煥(チョンドゥファン)元大統領が指揮した1979年軍事クーデター「12. 12 軍事反乱(군사반란)」をモチーフにした映画です。 ▼韓国現代史の名作映画(時代順に) 時系列で民主化に関連する事件を題材にした映画をまとめました。 ※「幸せの国」は8月14日公開 この6作品は別々の映画ですが、描かれている歴史はつながっています。 それぞれの作品で描かれている実際の事件を知ると、映画韓国歴史の理解がさらに深まると思います。 以下で関連映画の内容と実際の歴史の流れをまとめました。

    「ソウルの春」がもっと面白くなる!韓国現代史の名作映画まとめ
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    sakstyle 2024/12/05
    『KCIA 南山の部長たち』『ソウルの春』『弁護人』『タクシー運転手』『1987 ある闘いの真実』(内容の時系列順)
  • 『ロボット・ドリームズ』とかいう漫画映画を観てきた!(じんわりと深い感動) - 曇りなき眼で見定めブログ

    非常に良かった! 作った人らはスペイン人みたいだが、舞台はニューヨーク。ニューヨークの汚い街並みやヤンキースタジアムが出てくる。キャラクターはどうぶつやロボットだけど。 長編アニメーションだがセリフがまったくない珍しい作品である。「ハッ」とか声は時折り漏れるが言葉は発せられない。それゆえ表情が大事なのだけれど、これもかなりシンプルである。話の展開とか間合いで上手く伝えている。それ以外の演出もとにかく控えめである。しかし物語上の細かい起伏はたくさんあるので退屈しない。 当ブログが推している概念「客観アニメ」を体現する作品だと思う(「客観アニメ」についてはカテゴリーから高畑勲関連の記事を見てほしい)。キャラクターたちに過剰に寄り添うことがない。なので、ガンガン訴えるのではなく、じんわりと心に染み入るような作品になっている。それゆえに感動も深い。小鳥が旅立つシーンで最後の1匹の子が飛び立つところ

    『ロボット・ドリームズ』とかいう漫画映画を観てきた!(じんわりと深い感動) - 曇りなき眼で見定めブログ
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    sakstyle 2024/11/11
    あ、これ予告編見た奴だ
  • アレックス・ガーランド “シビル・ウォー アメリカ最後の日” - three million cheers.

    “Civil War” Director, Writer : Alex Garland US, UK, 2024 かなりおもしろかった。 いま見るべき映画。 正確に言うなら、今年11月のアメリカ大統領選挙までの間に見ておいた方がいい映画。 タイトルの通り、内戦が巻き起こっている近未来のアメリカ合衆国が舞台。連邦正規軍を圧倒する西部連合軍がワシントン・D.C.を陥落する寸前、4人のジャーナリストが大統領へのインタビューを行うためニューヨークから1,400kmをかけて首都への旅に出る……という筋立てのロードムービー。 このタイトルと設定を聞いたとき、誰もが現実の大統領選、現実のアメリカの状況を考えずにはいられないだろう。 ただし映画内での内戦の構図は現実の政治状況に重ならないよう慎重に計算されている。「テキサスとカリフォルニアが主導する西部軍」という設定は決してアメリカ政治状況・党派対立を反

    アレックス・ガーランド “シビル・ウォー アメリカ最後の日” - three million cheers.
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    sakstyle 2024/10/14
    面白かった
  • 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』感想 - 蝸牛の翅(つばさ)

    『シビル・ウォー アメリカ最後の日』感想 圧倒的に面白く怖いのはジェシー・プレモンスが恐怖を撒き散らす場面だけど。 一番怖いのはパンフレットの監督インタビュー曰く 「この映画を観た多くの人は、あの兵士が人種差別主義者だと気付きませんでした」 めちゃくちゃ怖い。

    『シビル・ウォー アメリカ最後の日』感想 - 蝸牛の翅(つばさ)
  • 内戦勃発により崩壊してゆく近未来のアメリカを描く映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

    シビル・ウォー アメリカ最後の日 (監督:アレックス・ガーランド 2024年アメリカ映画映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は内戦が勃発した近未来のアメリカを舞台に、戦場カメラマンの主人公が攻撃にさらされているアメリカ大統領を取材すべくNYからワシントンD.C.を目指すというスリラー作品だ。主演はキルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニー。監督は『エクス・マキナ』『MEN 同じ顔の男たち』のアレックス・ガーランド。ちなみにポスターなどで描かれている自由の女神は出てきません。 《STORY》連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、テキサス州とカリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。就任3期目に突入した権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力

    内戦勃発により崩壊してゆく近未来のアメリカを描く映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
  • 韓国軍事クーデター事件の顛末を描いた映画『ソウルの春』を観た - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

    ソウルの春 (監督:キム・ソンス 2023韓国映画) 1979年、韓国で起こった大統領暗殺事件とそれに伴う軍事クーデターを題材に、反乱側と制圧側との息詰まる攻防を描いた歴史ドラマ。韓国の国民的大スター、ファン・ジョンミンがクーデター首謀者チョン・ドゥグァン役を演じ、『ハント』『無垢なる証人』のチョン・ウソンが制圧側司令官イ・テシン役を演じている。監督は『FLU 運命の36時間』『アシュラ』のキム・ソンス。映画韓国において2023年観客動員数第1位となる大ヒットを記録した。 《STORY》1979年10月26日、独裁者と言われた韓国大統領が側近に暗殺され、国中に衝撃が走った。民主化を期待する国民の声が高まるなか、暗殺事件の合同捜査部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙い、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校たちを率いて同年12月12日にクーデターを決行する。一方、

    韓国軍事クーデター事件の顛末を描いた映画『ソウルの春』を観た - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
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    sakstyle 2024/09/09
    「ここまで愚かしい理由で戦局が動いてゆくドラマは観たことがない。これが史実の数奇な部分ではあるが、このうすら寒い愚昧ぶりにこそ、この物語の生々しい凄みがある。」
  • 地方映画史研究のための方法論(35)パラテクスト分析③ジョナサン・グレイによるオフ・スクリーン・スタディーズ|佐々木友輔

    見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 展覧会「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画歴史」2024年8月22日(木)から31日(土)まで、展覧会「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画歴史」を鳥取市立中央図書館で開催する。かつての鳥取では、教育目的の映画が「いつでも・どこでも・誰でも」映画が見られるという鑑賞機会確保に大きな役割を果たしていた。その時代の風景を想像できるような展覧会にできればと思う。 展覧会「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画歴史」また8月24日(土)には、関連企画として上映会「16mmフィルム映画で見る「動く絵」」を開催。鳥取市視聴覚ライブラリーに収蔵されているアニメ映画『おばけうんどうかい』と『もぐらシリーズ トッピィと森の仲間たち』の上映を行う。同じ作品でも、DVDや動画配信で見るのとはまた異なる独自の質感を持つフィルム上映を、若い世代にも

    地方映画史研究のための方法論(35)パラテクスト分析③ジョナサン・グレイによるオフ・スクリーン・スタディーズ|佐々木友輔
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    sakstyle 2024/07/29
    「グレイは、パラテクストを単なる付随物や派生物と捉えるべきではないと」入口となるパラテクスト→ポスターの分析など/途中からのパラテクスト→コンバージェンスなど/テクストになるパラテクスト
  • 地方映画史研究のための方法論(34)パラテクスト分析②ジェラール・ジュネット『スイユ——テクストから書物へ』|佐々木友輔

    見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉さんが加わって、第2弾の展覧会(米子・境港市内編)、米子市立図書館での巡回展「見る場所を見る2+——イラストで見る米子の映画館と鉄道の歴史」、「見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」を開催した。 2024年3月には、杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか——鳥取の公共上映・自主制作・

    地方映画史研究のための方法論(34)パラテクスト分析②ジェラール・ジュネット『スイユ——テクストから書物へ』|佐々木友輔
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    sakstyle 2024/07/25
    パラテクスト(タイトルや序文、挿絵など)は敷居(スイユ)のようなもの/空間・時間・物質・語用論・機能の5つの側面から/映画への応用:ジョナサン・グレイ「オフスクリーン研究」(予告編、レビューなど)
  • 命がけで届けられた映像を目撃する意味はあるのか ――『マリウポリの20日間』(ウクライナ・アメリカ合作、2023年) : Days

    見:ホール・ソレイユ BS世界のドキュメンタリーで放送されていたことは知っていたが、あえて映画館の暗い空間で、大きなスクリーンで見ておいたほうがいいんじゃないかと思い、見てきた。約100分なので、映画として長いとは思わなかったものの、当にたった100分だったのか? という思いが何度も去来するほどには、見るに耐え難い映画だった。 映画を見ている間はなるべく感情が昂らないようにしていたが、映画館を出てすぐに涙と鼻水が溢れ出てきたことを思うと、いろいろなことを感じざるをえない。多くの外国記者が開戦して数日の間に脱出を図る中、ウクライナ出身(ハルキウ)のカメラマンとして20日間の間崩壊していくマリウポリに残り、カメラが映した映像を海外に届けようとしたチェルノフ。軍人だけではなく警察官や救急隊、医師や看護師といった医療従事者たちがカメラの前で饒舌に言葉を残したこと。彼ら彼女らが果たして無事なのかど

    命がけで届けられた映像を目撃する意味はあるのか ――『マリウポリの20日間』(ウクライナ・アメリカ合作、2023年) : Days
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    sakstyle 2024/07/12
    「なぜこうまでして民間人が殺されなければならないのか? なぜ生活の場が破壊されなければならないのか? わずか100分の映画ではあるが、何度も何度もなぜ? どうして? という怒りばかりが強くなる」
  • ミュージックビデオの身体論⑧デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで|佐々木友輔

    8. デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで イラスト:湖海すず8-1. ミシェル・ゴンドリー前回(「アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ」)は、『ディレクターズ・レーベル』第1弾で紹介された3名のMV監督(スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、クリス・カニンガム)が描き出してきた身体イメージが、現在のMVが描き出す身体イメージの「原型」もしくは「類型」となっているのではないかと仮説を立て、スパイク・ジョーンズの諸作品とその系譜に連なるMVを紹介して来た。続いて今回取り上げるのは、ミシェル・ゴンドリーである。 ミシェル・ゴンドリーミシェル・ゴンドリーは1963年にフランスのベルサイユで生まれた。パリの美術学校で出会った友人たちとバンド「Oui-Oui」を結成し、当初はドラマーとして活躍。そこで自作したMVがビョークの目に留まり、『human

    ミュージックビデオの身体論⑧デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで|佐々木友輔