研究者としてサラリーマン人生を全うするはずだった――。入社以来、医薬研究に明け暮れていた協和発酵キリン・松田譲社長は54歳にして経営企画室に異動となる。しかし、そうしたさまざまな経験が、後に2社の経営統合を進める上で大きな糧となったのだ。 景気低迷、内需縮小が叫ばれる中、事業継続のために日本企業が海外に打って出て行かねばならないのは自明の理である。とりわけ医薬業界においては、かねてよりグローバル競争の荒波にさらされているのに加えて、主力の医薬品が2010年前後に特許切れして各社が収益源を失うという「2010年問題」の危機に直面しており、海外での利益確保や新興国市場の開拓などが急務といえる。 そうした中、抗体技術など最先端のバイオテクノロジーを基盤とした医薬事業で世界のトップクラスを目指し、新薬の開発、販売をグローバルで展開するのが協和発酵キリンである。同社は、国内はもとより、米国、ヨーロッ
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