ブックマーク / honz.jp (273)

  • 『分水嶺』専門家たちの葛藤を描いた傑作ノンフィクション - HONZ

    何か不測の事態を前にすると、読みの習性でついに手が伸びてしまう。 中国・武漢で発生した原因不明の肺炎に世間が注目し始めた頃、読み直さねばと書棚からひっぱり出したのは、『パンデミックとたたかう』というだった。 このは、SF作家の瀬名秀明氏が東北大学医学系研究科教授(当時)の押谷仁氏と新型インフルエンザについて議論を交わしたものだ。2009年に出ただが、押谷氏の発言に教えられるところが多く、その名が強く印象に残っていた。 付箋を貼っていたところをいくつか抜き出してみる。 「感染症の危機管理の基は、わからないなかで決断をしなくてはいけないことです。その最終的な判断は、やはり政治家がすべきだと私は思います」 「ウイルス性肺炎は、現代の医療現場でも、治療するのが非常に厳しい肺炎です」 「重症者が多発した場合の治療の課題は、医療体制の問題として、日はICUのベッドや人工呼吸器が限られてい

    『分水嶺』専門家たちの葛藤を描いた傑作ノンフィクション - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2021/04/20
    "サイエンスは失敗を前提としている。うまくいかなければ原因を探りやり直す。新しい知見が出てくれば前のものは間違っていたということになる"
  • 『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行 』 - HONZ

    大阪を読み解くための最後のキーワードは、「馬」だと思う。生駒山の西側や淀川の岸辺には、渡来人が多く住み、牧を造り、馬を飼っていた。そんな大阪の馬飼いが、一度歴史的な大仕事をしたことがある。越(こし)の男大迹王(おおどのみこ)〔継体天皇〕を畿内に連れてきたのは大伴氏だが、渋る男大迹王を説得したのは、河内馬飼首荒籠(かわちのうまかいのおびとあらこ)だった。河内で馬を飼育する者たちのトップに立っていた者だ。なぜ、馬を飼う者たちが、越の王を求めたのだろう。 馬と聞けば、「さては戦争に用いたのだな」「ひょっとして天皇家は騎馬民族の末裔か」と、想像してしまうかもしれない。しかし、「大阪の馬」は、流通に用いられたのではなかったか。というのも、海の民と馬は、切っても切れない関係にあったからだ。 たとえば九州の五島列島の住民は、縄文の海人(あま)の末裔だが、『肥前国(ひぜんのくに)風土記』には、馬に乗るのが

    『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行 』 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/11/07
    "政権にとって大阪は、「のどから手が出るほど欲しい場所」なのだが、実際に都を遷すとろくなことはなかった"
  • 『東西ベルリン動物園大戦争』きわめて人間くさい動物園の物語 - HONZ

    動物園業界には、「動物園人」という言葉があるらしい。動物や動物園のことを心から愛し、常に探究心と誇りを持って一生懸命動物園のために取り組む人のことを指し、時として人よりも動物相手のほうがうまくやっていける人間でもある。 書はこの動物園人たちを主人公とする骨太ノンフィクションだ。舞台は東西に分断されていた時代のドイツ・ベルリン。この都市には、壁を挟んで、二つの動物園が存在していた――西のベルリン動物園と、東のティアパルク。両動物園は、娯楽施設というだけでなく、2つの異なる社会体制のシンボルでもあった。そして興味深いことに、この二つの動物園の園長は、お互い反感を抱き合い、ライバル視していたのだ。 まずは東側の園長、ハインリヒ・ダーテから紹介しよう。子どものころから故郷で鳥類観察に精を出していた彼は、ライプツィヒ大学で動物学を研究する熱心な動物学者であり、その一方でライプツィヒ動物園にて助手と

    『東西ベルリン動物園大戦争』きわめて人間くさい動物園の物語 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/11/07
    "東西に分断されていた時代のドイツ・ベルリン" "壁を挟んで、二つの動物園が存在していた" "両動物園は、娯楽施設というだけでなく、2つの異なる社会体制のシンボルでもあった"
  • 『図解 世界の名作住宅』歴史に名を残す住宅は何がすごいのか? - HONZ

    建築は誰でも楽しめる。特に住宅は、衣住の根幹をなすものだから、住宅建築に全く関心がないという人はまずいない。 加えて、日人は世界的に見ても、建築がかなり好きな国民だと思う。美術館で建築展をやると、他のジャンルに比べて圧倒的な集客力がある。昨年、国立新美術館で開催された「安藤忠雄展―挑戦―」や、今年、森美術館で開催された「建築の日展:その遺伝子のもたらすもの」も大盛況だった。 書『図解 世界の名作住宅』は、月刊誌『建築知識』のエクスナレッジ社による、歴史に名を残す住宅は何がすごいのかについて、世界の名作住宅60点以上をイラストで分かりやすく解説した珠玉の一冊である。 近代建築の三大巨匠と呼ばれるル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエをはじめ、これらの住宅を設計した世界の巨匠たちの人となりが紹介されているのも、建築の理解に役立つ。 書で最初に登場する

    『図解 世界の名作住宅』歴史に名を残す住宅は何がすごいのか? - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/11/05
    "歴史に名を残す住宅は何がすごいのかについて、世界の名作住宅60点以上をイラストで分かりやすく解説"
  • それってホントに伝統?『歴史の「普通」ってなんですか?』 - HONZ

    それってホントに伝統ですか? このを読むとあなたの中で「伝統」という言葉の持つ意味が変わってくるかもしれません。結論から言ってしまうと、こういうことになります。 「歴史的に見れば、伝統とは、ちょっと長めの流行にすぎません。」 そもそも伝統という言葉は “tradition”の訳語として明治時代に作られた比較的新しい言葉だそうです。新聞などで伝統という言葉が使われるようになるのは、明治の末期になってからとのこと。伝統という概念を日人が意識するようになって、まだ100年ちょっとしかたっていないというのです。伝統というとなんとなく、江戸時代とかもっと古くからあるものだと思っていたので、この指摘はとても意外でした。 過去の日人は、自分たちの都合でたくさんの伝統を作りだし、たくさんの伝統を捨ててきました。長年続いていたのにあっさりとやめてしまった伝統もあれば、数回、数年間やっただけで、伝統を自

    それってホントに伝統?『歴史の「普通」ってなんですか?』 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/11/05
    "本来、伝統というものはローカルで多様性のあるもの" "日本人全員が共有する「日本の伝統」と称するものは、そういった地域ごとの多様性を無視"
  • 『万引き依存症』ダメだとわかっていても、やめられない - HONZ

    物を買うお金がない、10代の子どもの非行の入り口、転売目的のプロによる犯行、認知症の影響……。そんなありふれたイメージとは違った角度から万引きについて書かれた一冊だ。 なぜやったのか、常に分かりやすい動機があるとは限らない。周囲から真面目な人だと言われている。経済的に困っているわけでもない。にもかかわらず、繰り返し万引きに手を染める人々が一部に存在する。そのことをどう理解すればいいのだろうか。 書はそこに「依存症としての万引き」という視点を持ち込む。そもそも、「万引き行為に依存している状態」を、どれほどの人が想像できるだろうか。女子マラソン元日本代表選手の常習がニュースになり、摂障害との関連が一時期話題になった。「クレプトマニア」という言葉を耳にした人も少なくないだろう。だが冒頭で挙げたような一般的イメージに比べると、依存症としての万引きについては知らないことだらけだ。いったい何を思っ

    『万引き依存症』ダメだとわかっていても、やめられない - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/10/03
    "アルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・DVなどさまざまな依存症に関わってきた" "前著『男が痴漢になる理由』でご存知の方も少なくないだろう"
  • "本の虫"の首相が牽引する『沸騰インド 超大国をめざす巨象と日本』 - HONZ

    「この銃はドイツ製だと思う」 「あの場面で出てきた髭を伸ばした人たちはおそらくIS関係だろう」 シリアの内戦下に生きる若者を追ったドキュメンタリー映画『それでも僕は帰る シリア 若者たちが求め続けたふるさと』の配給をしたときのこと、ある朝日新聞記者にトークイベントで協力してもらった。彼は同社の中東特派員として計5年間、中東・アフリカ圏の紛争取材等にあたったのち、インドのニューデリー支局長を務めた人物だ。「自分の身は自分で守らねばならない」環境下で生き抜いてきた彼の、映画を観る視点は一般の人なら気づかないようなものばかりだった。 その記者こそが、書『沸騰インド』の著者、貫洞欣寛氏だ。一昨年に朝日新聞を退社したのち、追加取材も行って書き上げた書には、紙面では書ききれない情報量と多面的な洞察が詰まっている。 * インドは今、猛烈なスピードで成長を遂げている。人口は2022年までに中国を抜いて

    "本の虫"の首相が牽引する『沸騰インド 超大国をめざす巨象と日本』 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/08/30
    "HONZだからこそ特筆しておきたいのは、モディが小さい頃に周りの子供たちと違ったのは「読書量」" "特に偉人の伝記が好きで、インドの独立運動の歴史にも関心が強く、その頃の古新聞もすべて読破"
  • 『大英帝国の歴史』イギリスの人気歴史家、ニーアル・ファーガソンの出世作がついに翻訳! - HONZ

    『憎悪の世紀』『マネーの進化史』『文明』などで有名なイギリスの歴史家、ニーアル・ファーガソンの新刊である。最も書は国イギリスで2003年に出版されていた作品だ。連動して制作されたテレビ・ドキュメンタリー『EMPIRE: How Britain Made the Modern World』ではニーアル・ファーガソン自身が番組の案内役として出演し英語圏各国で多くの視聴者を得た。まさに、ニーアル・ファーガソンの出世作といっていい作品なのである。 そのテーマも壮大で、400年に及んだイギリス帝国の発端から終焉までを政治、軍事、経済、宗教と縦横無尽に駆け巡り論じ、ミクロとマクロの視点を交互にしながら、なぜイギリスが大帝国を築くことができたのか、そして、イギリスが作り上げた帝国は歴史上どんな意義があったのかと、問いかけていく。 特に2点目の帝国の意義という問いかけは大変に難しいものであろう。現代社

    『大英帝国の歴史』イギリスの人気歴史家、ニーアル・ファーガソンの出世作がついに翻訳! - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/08/30
    "イギリスの視点で描かれた植民地支配の記述は、非英語圏の読者には反発をおぼえる箇所もあることは確かだ" "ドイツ、フランスなどはかなり辛辣に描かれているし、日本にいたっては「ボロクソ」という感"
  • 現在、過去、未来……『AV女優、のち』 - HONZ

    晴れのち雨、雨のち晴れ。AV女優、のち――。AV女優の「のち」の後にはどんな言葉が似あうだろう?のちに続く言葉がポジティブなものであればいいなと、心から思う。このはタイトルが秀逸だ。「その後」ではなく「のち」。「AV女優、のち」言葉の響きがとてもいい。このタイトルに惹かれて、私はこのを手に取った。 「AV女優、のち」は、みひろ、笠木忍、麻美ゆま、愛奏(元・薫桜子)、長谷川瞳、泉麻耶、真咲南朋、7人の「元」AV女優が、現在、過去、未来について語ったである。彼女たちはみな2000年代にデビューをしている。著者曰く00年代はAV女優の意識が大きく変わった10年であり、最もパワーを持っていた10年だったそうだ。ちょうど00年代に20代だった自分も、彼女たちにはずいぶんとお世話になったものである。 みひろや、麻美ゆまはバラエティ番組に出演し、アイドルグループの恵比寿マスカッツとして活動していた

    現在、過去、未来……『AV女優、のち』 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/07/04
    "プロデューサーに相談したところ、「もう遅い」AVに出て名前を売るべきだと説得" "常套手段"
  • 巨大企業を創り上げた男たち 『闘う商人 中内㓛 ダイエーは何を目指したのか』他二冊 - HONZ

    万一、日に戻れたら、なによりもすき焼きをべようと思った フィリピンのジャングルでの壮絶な飢餓体験こそが中内㓛の原点だ。終戦後、米軍の生活物資を見てその豊富さに圧倒され、庶民が豊かになり、美味しいものをたらふくべられるようになるには流通が重要だと痛感する。 『闘う商人 中内㓛 ダイエーは何を目指したのか』は、側近の一人であった小榑雅章から見た、ダイエーの創業者・中内㓛の実像だ。そこに描かれた男は、単なる猛烈商人などではない。例えば、我々が見慣れている日型スーパーマーケットのシステム。それを編み出したのが中内であることを知る人は多くあるまい。極めて緻密な論理の人であったことが分かる。 信念の人でもあった。オイルショックや阪神大震災で、採算を度外視して商品を低価格で供給し続けたことは有名だ。しかし、ダイエーの出店でシャッター通りとなった商店街を歩きながら、「すまんなぁ、つらいなぁ」とつぶ

    巨大企業を創り上げた男たち 『闘う商人 中内㓛 ダイエーは何を目指したのか』他二冊 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/07/04
    "ゼロから巨大企業を創り上げた製造の松下、流通の中内、情報の孫。時代の流れは面白くもある"
  • 『コンビニ外国人』身近だけどよく知らない、ではすまされない - HONZ

    もはや毎日のように顔を合わせている人たちについての話だ。地域によって差はあるものの、都市部のコンビニでは外国人スタッフの存在はすっかり当たり前になった。自宅の最寄りのコンビニともなると7割くらいが外国人店員という印象なのだが、その割に知っていることはあまりにも少ない。タイトルを見た瞬間、自然と手が伸びた。 中身はコンビニの話にとどまらない。コンビニ店員のほとんどを占める私費留学生を中心としながらも、技能実習生、その他の奨学生、さらには在留外国人全般にわたる幅広い視野で外国人労働者の置かれる状況がまとめられた1冊である。 近い将来変わる見込みがあるものの、現状は技能実習生がコンビニでバイトをすることは認められていない。コンビニで働く人外国人のほとんどは、日語学校や大学で学びながら原則「週28時間」の範囲で労働する、私費留学生だ。中国韓国・ベトナム・ネパール・スリランカ・ウズベキスタンなど

    『コンビニ外国人』身近だけどよく知らない、ではすまされない - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/06/21
    "コンビニ店員のほとんどを占める私費留学生を中心としながらも、技能実習生、その他の奨学生、さらには在留外国人全般にわたる幅広い視野で外国人労働者の置かれる状況がまとめられた1冊"
  • 『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』 - HONZ

    作者:ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・ハンゼン 翻訳:森内 薫、赤坂 桃子 出版社:紀伊國屋書店 発売日:2018-06-21 ヒトラーの時代を考える ヒトラーと、その右腕ゲッベルス宣伝相が作り出した大衆的熱狂の先には、戦争と破壊、そして未曾有の大量殺戮が待ち受けていた。偏狭な自民族中心主義と極端な反ユダヤ主義、人種差別主義(レイシズム)が第二次世界大戦と結びついて、ヨーロッパを「暗黒の大陸」へと変えたのだ。戦後、世界は解放された各地の強制収容所に累々と積み上げられた犠牲者の屍に絶句し、「二度と繰り返してはならない」と誓ったのである。 それから73年が経過した今、ドイツ、オーストリアを始め世界各地でポピュリズム、排外主義の動きが不穏な高まりを見せている。人権と民主主義を軽んじる政治的指導者が名乗りをあげるなか、あらためてヒトラーの時代を考えることには大きな意味があるだろう。ヒトラーは大衆民

    『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/06/21
    "ポムゼルの語りはすべて言い訳のように読める。納得の行くところもあるが、首をかしげる箇所もある。だがその語りに真摯に向き合うことで"
  • 『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ

    歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を知ることはできない。物理学者が気温などのあらゆる環境をコントロールしながら特定の条件だけを少しずつ変化させて行う実験のように、歴史を繰り返すことはできないのだから。 歴史だけでなく進化生物学や地史学のように過去を扱う分野では、因果関係を明らかにするための最も強力な手法である実験を、用いることができないのだろうか。そうではないと書の編著者であるジャレド・ダイアモンドとジェイムズ・A・ロビンソンは説く。歴史関連の学問においては、自然実験と

    『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/06/13
    "「歴史の比較分析にとってほぼ理想的な地域」であるポリネシア諸島" "同じ祖先を持ちながら、多彩に異なる環境に身を置き、バラバラな社会を作り上げたポリネシア"
  • 『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ

    やばい、遅刻だ! 必死で走る私。バッグの中には、『ほぼ命がけサメ図鑑』。 その日私は、世界でただひとりのサメ専門ジャーナリスト(シャークジャーナリスト)であり書の著者でもある、沼口麻子さんと会う約束をしていた。が、池袋駅前で道に迷ってしまっていた。 サメ――海に行ってもお会いしたくない生物の代表格。「凶暴な海のハンター」というイメージをもつ人も多いことだろう。 ところがそのサメを追い求めて、サメの情報発信を生業としている女性がいる。しかも、6年がかりで執筆した『ほぼ命がけサメ図鑑』は発売後わずか5日で重版したというではないか! 『ほぼ命がけサメ図鑑』は、サメの生態など科学的な紹介から料理など人との関係、サメQ&Aに研究現場の紹介などなど、内容盛りだくさんのサメへの熱い想いにあふれる一冊である。 これはもう、著者に会ってみたいと思わないほうが、おかしいのではないか。 時間ぎりぎりに、汗だ

    『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/06/07
    "覚悟できたので、今の仕事を始められた"
  • 日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』 - HONZ

    再生可能エネルギーの躍進で世界中の電力構造は大きく変わろうとしている。太陽光をはじめとする再生可能エネルギー分野で技術革新がすすみ発電コストが大きく下がったことにより、供給量が大きく伸びてきた。 2000年代にも同じように電力構造の変化が起きており、その頃の主役は原子力だった。CO2を輩出しない電源として地球温暖化対策の救世主としてももてはやされ、原子力発電は飛ぶ鳥を落とす勢いで供給量が増えていったのだ。 躍進する電力には、技術者や企業家の夢や希望と同時に、お金政治も絶妙に絡み合ってくる。この構造はいつの時代も同じかもしれない。そしてそこでは様々なドラマが繰り広げられるのである。 新電力として期待されていた原子力はどのように日に導入されたのか。導入を進めた政治家・官僚・企業家はどのように絡み合って大きなうねりを作り出していたのか。書が記録するのは日の原子力政策のドラマである。 具体

    日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』 - HONZ
  • 『言葉の海へ』文庫解説 by 金水 敏 - HONZ

    書は、国語辞典『言海』の編者である大槻文彦の生涯を描いた評伝である。国語辞典と言えば、2011年に、国語辞典の編集に携わる人々を描いた三浦しをんの小説「舟を編む」がヒットし、その後映画化・アニメ化もされた。また2018年には広辞苑第七版が刊行され、新語として取り込まれた項目や、語釈の誤りが報道やネットで取り沙汰されるなど、日人にとって国語辞典は何かと関心の的である。 しかしながら、『言葉の海へ』第一章に描かれた、芝紅葉館での『言海』出版祝賀会の様子は、「関心の的」という言葉では済まされない、異様な政治的緊迫感を漂わせている。なによりその出席者の顔ぶれが、今日の目から見れば奇妙である。伊藤博文、勝安房(海舟)、榎武揚、谷干城、加藤弘之、物集高見、伊達宗敦、松平正直その他、歴史の教科書を賑わせる幕末・明治の元勲が賑々しく列席している(その顔ぶれは、薩長系というよりは旧幕臣、藩侯系に偏るの

    『言葉の海へ』文庫解説 by 金水 敏 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/03/07
    "国語辞典『言海』の編者である大槻文彦の生涯を描いた評伝"
  • 『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状 文庫解説 by 宇野 維正 - HONZ

    『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状文庫解説 by 宇野 維正 自分も含め、音楽ジャーナリストやライターがよく用いる便利で安易な言葉の一つに「音楽シーン」という言葉がある。同時代のミュージシャンや作品の傾向だったり、音楽業界やマーケットの動向だったりを表す言葉。実際のところ、そのうちのどれを指しているのかが 曖昧な言葉で、そこを曖昧にしたまま論を先に進める際に用いられがちな言葉だ。 スティーヴン・ウィットが書で明らかにしていく「シーン」は、いわゆる「音楽シーン」のことではない。それは明確に「発売前のコンテンツをインターネットで流しているグループ」のことを意味している。その音楽作品や映画作品がそれぞれの歴史や同時代においてどのような価値があるのか、そしてその作品のどこを個人的に評価するか。そのようなアートやカルチャーの質には目を向けず、

    『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状 文庫解説 by 宇野 維正 - HONZ
    sampaguita
    sampaguita 2018/03/07
    "ストリーミング・サービスがもたらしたリスナー嗜好の平準化によって、カナダを含む北米の英語圏アーティストの市場独占力は増すばかり"
  • AI関連本は、どんな本が売れているのか? どんな人が買っているのか? - HONZ

    AI vs.教科書が読めない子どもたち』がHONZのレビューをきっかけに大きく売上を伸ばしています。このをはじめとして、昨年末からAI関連の書籍の点数が急激に増えてきています。成長著しい分野のため、読者が求めるのも最新の情報ということで、やはり新刊への注目度が高い模様。実際にどんなが売れているのか、どんな方が買っているのか、今回はAI関連について見ていきたいと思います。 一概にAI関連といっても、新書から読み物、専門家や研究者向けの格的な技術書までジャンルは様々です。オールジャンルでどんなが売れているのか、2018年1月~2月13日までの売上からランキングを抽出してみました。(オープンネットワークWIN調べ:書名に関連ワードが入っている銘柄より抽出) 銘柄名 著訳者名 出版社

    AI関連本は、どんな本が売れているのか? どんな人が買っているのか? - HONZ
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    sampaguita 2018/02/28
    3位がメイエン先生で4位が羽生先生か。
  • 『GHQと戦った女 沢田美喜』 - HONZ

    戦後70余年。神奈川県大磯のエリザベス・サンダース・ホームで育った混血の孤児たちも、思えば、すでに老齢にさしかかっているだろう。 ホームの創設者、沢田美喜(1901~80年)は三菱財閥の創始者、岩崎彌太郎の孫である。男ならば当然、事業を発展させたはずだが、美喜は20歳で外交官、澤田廉三と結婚し、南米や中国、欧米各国で華やかな社交を繰り広げた。ところが、4人の子女を育て終えた40代半ばで敗戦を迎え、財閥解体で私財の大半を失うと、ほどなく戦争の落とし子らの救済に乗り出す。78歳で亡くなるまで、彼女が母親代わりとなって養子縁組をととのえたり、社会へ送り出した子供は二千人にも上る。 それはまさしく、占領期の日の復興、安定を支えた偉業に違いない。だが、大財閥の娘がなぜ、黒い肌、碧い瞳の、路傍に捨てられることすらあった混血の赤ん坊を、資金不足に悩まされながらも養育しようと決めたのか。どこか腑に落ちな

    『GHQと戦った女 沢田美喜』 - HONZ
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    sampaguita 2018/02/05
    "岩崎彌太郎の孫" "4人の子女を育て終えた40代半ばで敗戦を迎え、財閥解体で私財の大半を失うと、ほどなく戦争の落とし子らの救済に"
  • 『老後破産 長寿という悪夢』 - HONZ

    はじめに 大学の「社会保障論」の講義の中で、NHKスペシャル「老後破産」を教材に用いると、学生は衝撃を受ける。「なぜ高齢期に、こんな悲惨なことが起こるのか」「社会保障制度はどうなっているのだ」と──。丹念な取材で一人暮らし高齢者の生活を浮き彫りにしたルポは、若者の目を社会に向けさせ、社会のあるべき姿を思索させる力をもつ。 書が取りあげた一人暮らし高齢者の「老後破産」は、日の「家族依存型」社会保障制度が大きな岐路に立っていることを示している。日では、高齢期の貧困、介護、孤立といった生活上のリスクに対して、家族が大きな役割を果たしてきた。しかし、世帯規模が小さくなり、家族・世帯の形態が大きく変わる中で、家族・世帯の支え合い機能が弱体化している。単身世帯(一人暮らし)は、その象徴である。 65歳以上の一人暮らし高齢者数は、1985年から2015年の30年間で、118万人から593万人へと5

    『老後破産 長寿という悪夢』 - HONZ