屋根から雪がせり出している状態のことを「雪庇」という。 ゆきびさし、と読むほうが雅に聞こえる気がするが、せっぴ、と読むそうだ。 積雪の多かったこの冬は、我が家でも見たこともないほど大きな雪の塊が建物側に弧を描いてせり出していた。 窓にでもぶつかれば厄介なことになる、と心配していた矢先、それは地震くらいの地鳴りを立てて落下し、ベランダに飛び込んできた大きな氷の塊で空き缶を入れておくためのプラスティック容器を破壊した。 割れたのが窓じゃなくてよかった、とずいぶん胸をなでおろしたものだ。 「お隣の○号室から連絡がありまして、屋根からの落雪でベランダの板が割れたということです。尽きましては明日の午前中工事を行いますがご在宅ですか」 という、要領を得ない電話が数日後、管理会社から突然かかってきた。 我が家の管理会社はいつでも要領を得ないのだが、それは電話を掛けてきている本人がほぼ事態を把握しないまま
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