「自由」という視点が,社会秩序の再編を分析するうえでなぜ重要なのか.グローバル化の進展や価値観の多元化のもとで,人々が互いの自由を承認し,支え合うための連帯と社会的協働はいかに可能か.平等と自由,宗教,地域,税制,国民国家と境界などの論点から,同化や排除のない社会統合を可能にする規範や制度を積極的に探求する. - 「自由」をキー・コンセプトに, 8つのテーマから新しい社会像を描く ■編集にあたって 日本の社会は近年の格差と貧困の拡大に敏感に反応しています.規制緩和など新自由主義の思想に沿った自由の解釈は,相互の自由を可能にしてきたのではなく,自由のかたよったあり方をうみだしてきたのではないか.自己責任や自立を過度に強調する自由の主張は,社会の問題を個人の問題として受けとめさせることにより,一人ひとりの生に重すぎる負荷をかけてきたのではないか. 本シリーズは,自由をキー・コンセプトとして現代