自治体が進める公共施設の改修計画を巡り、新築時の設計者が著作権侵害を理由に裁判所へ工事禁止の仮処分を申し立てる騒動が起こった。申立人で建築家の大宇根弘司氏は、自治体への憤りを隠さない。 日経アーキテクチュアの取材に応じた大宇根弘司氏。国際版画美術館の改修を含む芹ケ谷公園再整備の基本設計を読み解いたが、「既存の美術館内部をわざわざ生活通路にする必然性があるとは思えない」と訴える(写真:池谷 和浩) 「改修案には驚いた。なぜこんな動線を採用したのか」。日経アーキテクチュアの取材に対し、日本建築家協会(JIA)元会長の大宇根弘司氏(大宇根建築設計事務所)はそう語気を強める。かつて設計を手掛けた施設の改修案について、所有者の東京都町田市を相手取り、2021年4月20日に東京地方裁判所立川支部へ工事禁止の仮処分を申し立てた。東京地裁はこの事案を本庁に移管、6月にも双方への審問手続きを実施する見通しだ