東京・明治神宮外苑地区で三井不動産などが行う再開発事業について、国連人権理事会の作業部会が5月末、「住民協議が不十分」と指摘する報告書を公表した。日本政府は全文削除を要求したが、文章は東京都がほぼ作成したことが判明。「異論を封じたい都の本音が見える」と批判の声が上がる。(森本智之、我那覇圭)
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「時間に追われ、仕事をこなしきれない」。千葉県睦沢町の事業所「けやき」の女性職員(55)は嘆く。施設では多くの人の利用時間が5時間半程度だったが、4月から個別に見直して6時間超に延ばした。 これまで、生活介護の基本報酬は利用時間で差がなかったが、5時間以上6時間未満では大きく減ったため=表、6時間以上にして減収を少しでも抑える狙いもある。ただ、利用者を車で家に送り届ける時刻が遅くなり、職員が事業所に戻ってから記録や掃除、翌日の準備などがしにくくなった。「利用者に応じてどう支援するかをチームで共有する時間もない。やりたい支援ができず、サービス残業もある」と女性職員。感染症対策や防災など多岐にわたる他業務の時間の確保も悩ましい。 施設長の西希仁(のぶひと)さん(56)が3月の利用者20人の実際の利用時間を基に、改定後に施設が得る基本報酬を試算したところ、トータルで月額約82万円の減収となった。
長引く物価高は、企業による必要以上の値上げが要因との見方が出ている。企業がコスト増加分を上回る値上げで収益を拡大させた一方、賃金に十分還元していないとして、欧米で「強欲インフレ」と呼ばれた現象だ。物価上昇の内容を分析した専門家によると、日本も同様の状況に陥りつつある。(大島宏一郎) 5月末の金曜日、スーツ姿の人が行き交うJR新橋駅前のSL広場。「食品は値上がりしたが、給料は上がっていない。景気は悪いと感じる」(東京都千代田区の30代会社員女性)、「スーパーで買うお菓子の容量や個数が減った」(港区の60代会社員男性)。働く人たちは物価高の厳しさに口をそろえた。連合総研の4月調査で、賃金が物価より上がったと答えた働き手はわずか6%台だ。
東京・多摩地域の水道水源の井戸で発がん性の疑われる有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が高濃度で検出されている問題で、汚染源の可能性がある米軍横田基地(福生市など)が、米国の飲用水の新規制値を満たさないとして、基地内の飲用井戸の運用停止を検討していることが、政府関係者への取材で分かった。厳しくなった新規制で、米軍が地下水の除染や汚染源の特定に取り組む可能性があるが、その機会が失われかねない。(松島京太) 多摩地域のPFAS汚染 米軍横田基地で2010〜23年、PFASを含む泡消火剤などの漏出事故が計8回発生。12年発覚の事故では泡消火剤の原液約3000リットルが土壌に漏出したが、米軍は基地外への影響を否定している。都の地下水調査では、基地南東の約1キロ地点で、強制力のない日本の暫定指針値(PFOSとPFOAの合計値で1リットル当たり50ナノグラム)の27倍を検出。これは都内最高値。基地
自民党は31日、派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正の再修正案を各党に示した。公明党や日本維新の会に譲歩し、政治資金パーティー券購入者の公開基準を「5万円超」にするほか、党が議員に支給する政策活動費の領収書を10年後に公開すると付則に盛り込んだ。透明化は不十分で、立憲民主党などが要求する企業・団体献金の禁止も入らず「金のかかる政治」が続くことになる。改革とは程遠い内容で、国民の信頼は取り戻せそうにない。(井上峻輔、大野暢子、近藤統義) 岸田文雄首相(自民総裁)は31日、公明の山口那津男代表、維新の馬場伸幸代表と相次いで会談し、協力を要請。自民はこの後、両党の主張を一部取り入れた再修正案を、衆院政治改革特別委員会の理事懇談会に提示した。公明と維新は自民案に賛成する方針で、早ければ4日にも衆院を通過し、今国会での成立が確実となった。
東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)を巡り、現職の小池百合子知事に出馬要請した区市村長の有志52人の1人、日野市の大坪冬彦市長は30日の記者会見で、「(小池氏側からの)『応援依頼』だったのが、なぜか(首長側からの)『出馬要請』になってしまった。心外だ」と述べた。 大坪市長は2021年の市長選では、小池知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の推薦も受けて当選した人物。一体、何があったのか。(立川支局、デジタル編集部)
開幕まで1年を切った大阪・関西万博で、子ども102万人の無料招待計画に暗雲が広がっている。交通アクセスや見学施設に不明な点が多く、自治体や教職員から疑問が噴出。建設現場で起きた地中ガスの爆発事故も、来場者の安全確保に影を落とす。無茶な招待は2021年の東京五輪で問題になったばかり。なぜ為政者はメガイベントに子どもを「動員」するのか?(山田雄之、山田祐一郎)
日本と英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に向けた企業との契約や輸出管理を担う政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」の設立に関する条約の承認案が14日、衆院本会議で自民、公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、衆院を通過した。共産党、れいわ新選組は反対した。近く参院で審議入りする。 日英伊3カ国は2035年の次期戦闘機の配備を目指しており、24年度中にGIGOの本部を英国に設置する予定。承認案には輸出促進が明記されており、政府は3月に武器輸出ルールを緩和し、日本から第三国への輸出を解禁した。木原稔防衛相は14日の記者会見で「共同開発の円滑な実施にGIGOは必要不可欠だ」と意義を強調した。
原発推進派を集めて「エネルギー基本計画」議論スタート 「関係者だけで決めるのか」…批判に政府の反論は? 経済産業省は15日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(分科会長・隅修三東京海上日動火災保険相談役、委員16人)を開き、「エネルギー基本計画(エネ基)」を見直す議論を始めた。岸田文雄首相は、福島第1原発事故後は封印してきた原発の新増設などを進める方針に大転換、新計画に明記するかが焦点となる。推進派が大半を占める分科会の委員から早速、原発推進への回帰を求める意見が上がり、新計画が後押しする恐れがある。(山中正義) エネルギー基本計画 エネルギー政策の中長期的な方向性を示す国の指針。エネルギー政策基本法に基づいている。2003年10月に最初の計画が閣議決定された。およそ3年ごとに見直され、政府が目標に掲げる50年までの温室効果ガス排出ゼロを踏まえた電源構成などが示される。21年10月に
離婚後も父母の双方が親権を持つ共同親権を導入する改正民法は17日の参院本会議で、与党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。共産党とれいわ新選組は反対し、社民党は退席した。1947年から続く離婚後の親権制度が初めて見直され、子どもの養育環境が大きく変わることになる。改正法は2026年までに施行される。(大野暢子) 離婚後の共同親権 離婚後の共同親権 親権とは、子の世話や教育、どこに住むかの決定、財産管理などを行う親の権利・義務。改正民法の施行後は、親権者を父母の一方とするか、双方とするかを選べるようになる。共同親権の場合も、緊急手術やDV・虐待からの避難、入試の合格発表後の入学手続きなどの「急迫の事情」がある時や、食事の世話など日常的な行為は単独で可能。改正法には父母が協力し、子の人格を尊重し自身と同程度の生活が維持できるように扶養する責務も明記された。
文書は「確認書兼精算同意書」のタイトルで田島哲康社長宛て。現役の社員が原告弁護団に情報を寄せた。同社の担当者は取材に「(文書は)当社から従業員に説明を行った上で、内容に同意された従業員から提出いただいたものです」と回答した。 訴訟では、元作業員兼ドライバーの3人が、月約6万〜7万円の基本給のほか、売上額に応じた出来高払いの「業績給」などの手当が支払われていたが、賃金を抑えるための不当な制度だと主張。昨年8月の一審東京地裁立川支部の判決では、3人の職務内容には出来高払いが当てはまらないとして、未払い残業代計約950万円と、制裁に当たる「付加金」計約620万円の支払いを命じた。今月15日にあった控訴審判決でも、東京高裁が一審判決を支持し、サカイ側の控訴を棄却した。 弁護団によると、社側は今年4月中旬ごろ、「業績給」制度が適正だとする内容の動画を社員に見せる説明会を開き、文書を配布。「会社から任
JR旅客6社が、2025年4月から精神障害者の運賃割引制度を始める。東京メトロや京成電鉄などの大手私鉄9社も、今年から来年にかけて相次いで開始する。導入済みの事業者と合わせて、JRグループや大手私鉄16社の全てで実施されることになり、先行していた身体障害者、知的障害者の水準にようやく並ぶ。ただ、日常生活で利用するには厳しい条件がなお残る。(我那覇圭) 精神障害 統合失調症や双極性障害、てんかん、薬物やアルコールなどの依存症、高次脳機能障害、発達障害などを指す。2023年版の厚生労働白書によると、推計で全国に614万8000人おり、身体障害の436万人、知的障害の109万4000人を上回っている。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑で、東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑で安倍派と二階派の強制捜査に乗り出した。これまで、法の網をかいくぐるような「政治とカネ」の不正が発覚するたびに、改正を重ねる「いたちごっこ」が繰り返されてきた。深まる疑惑に国民の政治不信が高まる中、実態解明とともに抜本的な制度改革が欠かせない。(近藤統義) 岸田文雄首相は18日、政治資金規正法の改正について官邸で記者団に問われて「そうした選択肢も決して否定するものではない」としつつも「全容や課題、原因が明らかになっていく推移を見た上で対応を考えなければならない」と強調。与野党から改正論が上がるが、首相は現時点で慎重な姿勢を崩していない。
生存権を保障する憲法25条を守り、生かそうとする集会が16日、東京・永田町の衆議院第1議員会館で開かれた。生活保護受給者や非正規労働者、介護・保育などの現場で働く当事者らが集まり、「防衛費より社会保障の拡充を」と訴えた。 生活保護を受給する都内在住の木村良太さん(42)は、厚生労働省に対して、生活保護の基準額引き下げ処分取り消しを求める集団訴訟の原告団の1人。異常な物価高や円安などが生活を直撃していることを踏まえ、「裁判結果を待たず、政府判断で基準額を大幅に引き上げてほしい」と力を込めた。 ハローワークで働く非正規公務員の女性(52)は、非正規公務員の多くは年収200万円以下だといい、「困窮者を路頭に迷わせ、その困窮者を対応する非正規職員までも困窮に陥れている国の制度のおかしさを知ってほしい」と訴えた。
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