新聞は戦争を止められるのか 昭和戦前期の教訓に学ぶ 保阪正康さんインタビュー 戦争の「盾」~ジャーナリズムの責任~(2) 保阪正康 ノンフィクション作家 昨年末、タレントのタモリがテレビ番組で来たる2023年について問われ「新しい戦前になるんじゃないですかね」と発言したことが話題になった。「戦前」といえば1930年代。当時のジャーナリズムが、戦争に突き進む軍部の暴走を止められなかったのはなぜなのか。昭和史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康さんに聞いた。 明治時代には政府批判も ――日本のジャーナリズムが国家権力と相対した歴史について教えてください。 保阪 まず明治時代について述べたいと思います。明治初期の言論には、草創期の活力があり、政府批判も活発だったからです。昭和戦前期にはジャーナリズムはほぼ「全滅」し、新聞などのメディアが国家の宣伝媒体と化してしまいました。 幕藩体制が崩壊して明