三遊亭圓朝の明治 (文春新書) 作者: 矢野誠一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/07/19メディア: 新書購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る 三遊亭圓朝は、現代の日本語を作った人である。 と、してしまうのは確かに行き過ぎかもしれないが、圓朝の速記録が言文一致体に及ぼした影響は計り知ることができない。 何しろ、当時現われ始めた、無学でありながら文盲ではない明治の大衆にとって、仮名垣魯文やら二葉亭四迷やら夏目漱石が机の前で筆にてしたためたものと、高座から聴衆に語りかけたものを記録した文章との違いなどありはしない。どちらも、新しく出現した活字によって、新しく出現した新聞などのメディアによってもたらされたのだ。活字にいたるまでの経緯や個体差を消滅させてしまうのが、新しいメディアの特徴でもあるのだ。 しかし、あらためて顧みるに、圓朝はわれわれに何を