九州の広い範囲を襲った豪雨は各地で河川の氾濫を引き起こし、甚大な被害をもたらした。ただ長年、暴れ川と恐れられてきた長崎県諫早市などを流れる本明川の流域一帯では大きな被害は生じなかった。地元住民からは、国営諫早湾干拓事業で完成した淡水調整池による治水機能に救われたと評価する声が上がる。(九州総局 中村雅和) 【写真】わずか20分で民家水没…とらえた防犯カメラ 「これまでなら水が出ているだろう。少なくとも床下(浸水)までは覚悟しないといけない。でも今はそんな必要はない。心配はしていない」 10日午後、自宅で取材に応じた諫早市自治会連合会の古賀文朗会長は、冷静な表情でこう語った。 九州の広い範囲で大雨をもたらした前線は、諫早市にも牙をむいた。1日あたりの降水量はピーク時で平年の10~20倍にのぼり、市内を流れる本明川は、一部で氾濫危険水位に達していた。10日も正午過ぎから雨脚が強まっていた。 諫