『頼朝と義時』(講談社現代新書)の著者で、日本中世史が専門の歴史学者・呉座勇一氏が、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放送内容をレビューする本企画。今回は、先週放送の第14話「都の義仲」、昨日放送の第15話「足固めの儀式」をまとめて解説。さまざまな史料や学説を参照しつつ、源氏の棟梁の座をめぐる源頼朝と木曽義仲の対立や、上総広常が粛清された真の理由に迫ります。 『鎌倉殿の13人』の第14話では木曽義仲の入京、第15話では上総広常の粛清が描かれた。権力者となった源頼朝の冷酷さが露わになっていき、その謀略に戦慄する北条義時。歴史学の観点から第14・15話のポイントを解説する。 源頼朝と木曽義仲の対立 『鎌倉殿の13人』第14話のナレーションで説明されたように、木曽義仲は北陸道で平家の大軍を撃破し、京に向かって進軍する。平家は安徳天皇と三種の神器を伴って都落ちし、入れ替わりに木曽義仲・源行家らが