ローマ帝国の公用語として世界に広まり、母語として話す人がいなくなってなお、現代まで「教養」語として生き続けているラテン語。しかも近年、その関心はますます高まっているという。西洋中世思想を専門とする村上寛氏による新刊『ラテン語の世界史』(ちくま新書)は、イタリアの一地方言語に過ぎなかったラテン語がいかにして世界に広まり、公用語として生き続けてきたのか、その2000年以上におよぶ歴史をわかりやすく伝える一冊だ。 ラテン語はなぜ近年、注目を集めているのか。実用性が決して高いとは言えないラテン語を学ぶ意義とは。「世界最強の言語」ラテン語について、村上寛氏に話を聞いた。 村上寛氏 ――本書に「2010年頃からラテン語への興味が高まり、関連する書籍の出版も非常に増えている印象があります」とありました。その頃に、何かラテン語が盛り上がるきっかけがあったのでしょうか? 村上寛(以下、村上):ヤマザキマリ先