工費高騰を理由に白紙撤回された新国立競技場の建設計画について、旧計画のデザインを担当した建築家ザハ・ハディド氏の事務所は28日、「コスト高は東京の資材や人件費高騰によるもので、デザインが原因ではない」との声明を発表した。費用がかかりすぎるとされたアーチは230億円ででき、総工費の10%未満だったとしている。 事務所は、事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の姿勢を批判。「低価格な競技場を提案する用意もあったが、JSCから要請はなかった。十分な競争がない中で建設会社を選ぶことは過大な見積もりを招くと警告していたが、聞き入れられなかった」とした。 計画見直しで新しいデザインを選べば、質が悪くなるうえ、建設費も高くなるリスクがあるとし、安倍晋三首相に対し、有効な提案をする準備があると書簡を送ったことも明かした。(ロンドン=河野正樹、渡辺志帆)