家(買わなかった記録)母には物件探しのことは伝えていた。母は突拍子もない思考と行動力の持ち主だけど、子どものすることには基本ノータッチだ。物件探しに関しても「あっそ」と昭和天皇なみの反応だった。少なくとも表向きはそういう気の使い方をできるひとだ。一方、父は、というか父は、今年の夏、ずっと所在不明だった。いや、所在はわかるけど関わり合いたくなかった。定年後、嘱託扱いになっても俺が俺が俺が一番この仕事を知ってるんだ出来るんだ愛してるんだと酒を飲んで泣いて大騒ぎした父は「もう今までどおりの権限はないんです」とかっての部下でいまは上司に諭されたことに腹を立て、寝泊りできる仕事場にずっと立てこもっていたのだ。マジで!母は黙々と週末ごとに洗濯や食事の世話に通っていたらしい。マジで!いずれ完全に定年になった父がこのまちに帰ってくるかと思うと本当に怖い。一家心中という言葉がシャレにならないひとだからだ。父