米国を除く十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)締結に必要な関連法案が二十四日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。政府・与党は今国会での成立を急ぐが、野党は議論が不十分と反発しており、参院での審議が焦点になる。 法案は、畜産物価格安定法や著作権法などの関連十法を一括して改正する。輸入品増加で影響を受ける畜産農家の赤字を補う制度の拡充や、著作権保護期間の延長などをTPP発効に合わせて実施できるようにする。
米国を除く十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)締結に必要な関連法案が二十四日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。政府・与党は今国会での成立を急ぐが、野党は議論が不十分と反発しており、参院での審議が焦点になる。 法案は、畜産物価格安定法や著作権法などの関連十法を一括して改正する。輸入品増加で影響を受ける畜産農家の赤字を補う制度の拡充や、著作権保護期間の延長などをTPP発効に合わせて実施できるようにする。
ぬいぐるみのクマと動物たちの触れ合いを描いた英国の児童文学「クマのプーさん」の著作権保護が五月末で切れ、六月二十五日に角川書店から新訳本が発行される。環太平洋連携協定(TPP)に盛り込まれた保護期間の延長で著作権切れが二十年先に延びることになっていたが、米国の離脱でTPPが発効できず、プーさんの自由化が実現することになった。 TPPにおける著作権の保護延長は、ミッキーマウスなどの人気キャラクターを抱える米国の主張で決まった。これを受けて日本は昨年末に国内法を改正。TPP発効と同時に、TPP参加国以外の国も含めた国内外の作品の保護期間を作者の没後五十年から七十年に延長することにした。 しかしTPPは発効されず、プーさんの著作権は切れた。今後は二〇〇五年に著作権保護が切れたサンテグジュペリの「星の王子さま」を競って出版したように、プーさんの「新訳ラッシュ」がみられる可能性が出てきた。一方、ディ
政府が創設を検討している「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の全容が二十七日、関係者への取材で明らかになった。政府はテロ対策を強調し呼称を「テロ等準備罪」に変更したが、法案には「テロ」の文言が全くないことが判明。捜査機関の裁量によって解釈が拡大され、内心の処罰につながる恐れや一般市民も対象になる余地も残しており、共謀罪の本質的な懸念は変わっていない。 (山田祐一郎) 本紙が入手した法案全文によると、処罰されるのは「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」で、「計画罪」と呼ぶべきものとなっている。政府が与党に説明するために作成した資料では、対象とする二百七十七の犯罪を「テロの実行」「薬物」など五つに分類していたが、本紙が入手した法案全文には「テロ」の文言はなく、分類もされていなかった。特定秘密保護法で規定されているようなテロリズムの定義もなかった。 法案は、共同
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から間もなく六年。福島第一をはじめとする廃炉や使用済み燃料再利用など原発の後始末にかかる費用が膨張している。本紙が政府推計や予算資料を集計したところ国内の原発処理の経費は最低四十兆円に上ることが判明。原発のある自治体への補助金などの税金投入も一九七〇年代半ばから二〇一五年度までに十七兆円に達した。すでに国民が税などで負担した分を除き、増大する費用は電気代や税で国民が支払わねばならず、家計の重荷も増している。 (原発国民負担取材班) 四十兆円は国民一人当たり三十二万円に上る。原子炉や核燃料処理費がかさむのは危険な核物質を処理する必要があるため。自治体補助金も「迷惑料」の色彩が強い。原発の建設・運営費も事故後は安全規制強化で世界的に上昇している。 政府は福島事故処理費を一三年時点で十一兆円と推計したが、被害の深刻さが判明するにつれ、二一・五兆円と倍増。本来
東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学一年の男子生徒(13)が、市立小学生時代に避難者であることを理由にいじめを受けていた問題で、生徒の父親が九日、本紙の取材に応じた。いじめは避難直後から少なくとも四年に及んでおり、「学校がちゃんと対応してくれず、卒業式にも出られなかった。時間を返してほしい」と訴えた。 (志村彰太) 父親によると、一家は放射能の影響を恐れて避難。生徒は小学二年の二〇一一年八月、市立小に転入した。直後から同級生から「菌」や「放射能」と呼ばれたり、蹴られたりした。支援物資として提供された文房具を取られたこともあり、三年のころから休みがちになった。 さらに五年になると、「(原発事故の)賠償金をもらっているだろ」と言われ、ゲームセンターや観光地の同市みなとみらい地区で遊ぶ金をせがまれた。多い時には十人に十万円を支払い、一カ月半の間に計約百五十万円に上った。
原発の事故処理・廃炉に必要な費用の国民負担につながる議論が五日、本格的に始まった。「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会(東電委員会)」が、東京電力福島第一原発の処理費用について国民負担を求める方針を示したほか、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会も通常の原発の廃炉費用について、すべての電力利用者に負担を求める方向で検討を開始した。両会合は連携しながら、年内に方向性を打ち出す。 東京電力福島第一原発の事故処理にかかる費用の資金繰りを話し合うため、経済産業省は五日、財界人らでつくる「東電委員会」の初会合を開き、東電の経営改革で費用を工面しつつ、足りない分は国民に負担を求める方針を示した。しかし、必要な処理費用は確定が難しく、最終的に国民負担がどこまで増えるかは見えない状況だ。 委員会は、東電や提携先の内部情報を含むとして非公開。会合後に委員長の伊藤邦雄一橋大大学
臨時国会で再開される見通しの憲法審査会での議論を前に、注目を集めている異色の本がある。自民党の改憲草案について、起草者の気持ちになりきって解説した「あたらしい憲法草案のはなし」。終戦直後に文部省(現文部科学省)が発行した「あたらしい憲法のはなし」のパロディー版だ。草案の根底にある考え方を、痛烈な皮肉を交えて分かりやすく解きほぐしている。 (安藤美由紀) 「草案のはなし」は、参院選公示日に合わせて六月二十二日に発売。出版した太郎次郎社エディタスによると「『改憲もいいんじゃないか』と何となく思っている人たちに、改憲をやりたい人たちが何を考えているのか知ってほしい」という狙い。改憲派と護憲派のどちらが書いたのか分からない方が興味を引くと考え、著者は伏せ「自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合(自爆連)」とした。予想以上の売れ行きで、現在六刷(計三万部)を発行。 文体もイラストも「憲法のは
【ロンドン=小嶋麻友美】英国のキャメロン首相が十三日に辞任するのに伴い、「首相官邸ネズミ捕獲長」の肩書を持つ雄のトラ猫、ラリー=写真、首相官邸ホームページから=の進退が話題になっている。 動物愛護施設にいたラリーは二〇一一年、ネズミを捕まえる能力が見込まれてキャメロン氏が採用。官邸の主が入れ替わるため「ラリーも解職されるのでは」と心配する声が十一日、ツイッターなどで広がった。英メディアによると、内閣報道官は同日、ラリーの正式な飼い主が職員であるため、今後も官邸にとどまる見込みだと発表した。 ただ、ラリーは実際にはネズミを捕らず、官邸ホームページでは日々の業務として「来客を迎えたり、アンティーク家具の寝心地を確認している」と紹介。肝心のネズミ対策は「ラリーは『戦略を練っている段階だ』と言っている」と記されている。
二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故の際、首都圏で大規模な避難が必要になる最悪のシナリオに備え、当時の菅直人・民主党政権下で首相談話の作成が極秘に行われていたことが分かった。本紙が入手した草案には「ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」などと万策尽きた状況を想定した部分もあり、原発事故直後の政府内の危機感をあらためて示している。 草案を作成したのは、民主党政権で官邸の情報発信担当の内閣官房参与を務めていた劇作家の平田オリザ氏。当時、文部科学副大臣だった鈴木寛・元民主党参院議員が原発事故発生から一週間後の一一年三月十八日、作成を依頼し、平田氏は二日後の二十日に書き上げた。四百字詰め原稿用紙七枚に相当する約二千八百字の長文で、避難の範囲といった具体的な数値については、発表時の放射性物質の拡散状況に対応できるよう「○○
厚生労働省は二十日までに、介護の必要度が比較的低い「要介護1、2」の人を対象に、在宅での生活を援助するサービスの在り方を見直す方針を固めた。掃除や調理、買い物などの援助を介護保険の対象から外し、原則自己負担とすることを検討する。膨張する社会保障費を抑制する狙いがあるが、負担増につながる高齢者の反発も予想される。 トイレや入浴などの介助をする身体介護は見直しの対象とはしない。社会保障審議会の部会で二月から議論を始め、年内に結論を出し、二〇一七年の通常国会での法改正を目指す。 見直しの対象となるのは、主に介護ヘルパーが自宅を訪れる訪問介護の生活援助サービス。一三年度の厚労省の調査で、訪問介護の利用者のうち生活援助サービスだけを使う割合は、要介護1は50%を超えるため「ヘルパーを家政婦代わりにしている」との指摘が出ていた。財務省も昨年、介護の必要度が低い人については原則自己負担とするよう求めた。
東京都世田谷区は29日、同性カップルの宣誓を認める公的書類を発行すると定めた要綱案を区議会に報告した。要綱案には区の発行する書類の具体的な効力は明記されていないが、公的機関が同性カップルを承認する制度が広がることで、性的少数者(LGBT)への偏見や不利益の解消が進むことが期待される。区は11月をめどに書類を発行する方針。 要綱案によると、同性カップルが区にパートナーであることを宣誓し、区が押印した宣誓書の写しと、受領の証書を交付する。宣誓するには、双方が二十歳以上で区内に居住するか、一方が区内に住み、もう一方が転入を予定していることなどが条件。区が十年間、宣誓書を保管する。 要綱は、自治体の事務の目的や手順を示したもので、条例のように議会の議決は必要ない。首長の権限で策定できる。 性的少数者は賃貸住宅の入居や病院の面会などで、戸籍上の家族ではないことを理由に断られるといった不利益があり、世
他国を武力で守る集団的自衛権の行使を柱とする安全保障関連法案に関する衆院特別委員会は十日午前、関係閣僚が出席して一般質疑を行った。菅義偉(すがよしひで)官房長官は二百人以上の憲法学者が安保法案を違憲だと批判していることについて「数(の問題)ではない」と述べ、合憲の主張が少数派であることを認めた。その上で、合憲と主張する憲法学者三人の実名を挙げた。 三人は百地章日本大教授、長尾一紘中央大名誉教授、西修駒沢大名誉教授。菅氏は「憲法の番人は最高裁だから、その見解に基づき法案を提出した」と述べ、安保法案は合憲だと重ねて主張した。
「江戸しぐさ」なるものが、小学校の道徳教育や自治体の市民講座でもてはやされている。江戸時代の商人たちが人間関係を円滑にするために培ってきた生活マナーらしいが、その存在を裏付ける史料は存在しておらず、本当の江戸とのつながりは定かではない。歴史研究家は「ニセの歴史」などと指弾する。発信源を探ってみると、その名もずばり、NPO法人「江戸しぐさ」にたどり着く。国や自治体はこの主張に乗っかっていた。 (林啓太) 【こちらは記事の前文です】 記事全文をご覧になりたい方は、東京新聞朝刊または、携帯電話の有料会員サービス「東京新聞・東中スポ」をご利用ください。 東京新聞は、関東エリアの駅売店、コンビニエンスストアなどでお求めいただけます。 「東京新聞電子版」なら全国どこでも、また海外でも、記事全文が紙面ビューアーでご覧いただけます。 購読・バックナンバーをご希望の方は「新聞購読のご案内」をご覧ください
【ワシントン=共同】私の名前を許可なく載せたら訴える-。地元政治家に圧力をかけられた米東部メリーランド州の地方紙が、逆にこの政治家の名前を二十八回繰り返す社説を掲載するなど報道の自由を盾に抗戦し、全面降伏に追いこんだ。米主要メディアが八日伝えた。 同州フレデリック郡で公職を務める共和党のカービー・デローター氏は、地元紙フレデリック・ニュースポストに自分のことが書かれたと腹を立て、今後自分の名前を勝手に書いたら訴訟を起こすと宣言した。 デローター氏は選挙で選ばれた公人。同紙は「前代未聞」と反発、六日には名前を伏せて同氏をどう表現するかを真剣に考える社説を掲載した。ユーモアと皮肉が詰まった記事には「カービー・デローター」と連呼する表題を含め、フルネームを二十八回織り込んだ。
東京都国立市のシェアハウスで暮らすシングルマザーの女性(41)が、同じ家に住む独身男性と「事実婚」の関係にあるとみなされ、市が十一月、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当と児童育成手当を打ち切ったことが分かった。事実婚の実態はないが、市は「都の見解に従い、同じ住所の男女は事実婚とみなす」と説明。女性は「住所が同じだけで打ち切るなんて」と憤る。 女性は二〇一〇年に離婚し、一三年四月から長女(6つ)とシェアハウスで暮らし始めた。二階建ての10LDKに母子家庭と父子家庭、独身の計六世帯八人が入居する。女性はいずれの男性とも交際しておらず、生計も完全に独立している。住人はそれぞれが家主と個別に賃貸借契約し、光熱水費は平等に分担。居間やバス、トイレ、キッチンは共用だが、それぞれの居住スペースは施錠できる。
♪泣きながらあなたの帰りを待っている日々は 今日で終わり すてきなニュースがラジオで流れた(中略)信じられるかい すべての戦場が なくなった 今日なくなった 宮城県亘理(わたり)町のスーパーマーケット前。自衛隊のイラク派遣が間近に迫っていた二〇〇三年十二月、地元に住むシンガー・ソングライターの男性(49)の歌声とギターの音色が響いた。平和への思いを込めた自作の曲。ライブの傍らで知人女性が派遣反対の署名を集めていた。
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