「優秀」なはずの人間たちが、大きな間違いを犯す。福島の原発事故で、私たちはそんな現実を見せつけられた。原発問題を知り尽くした専門家が、日本人が抱える病「規制の虜」を明らかにする。 原発事故は人災だった 国会事故調委員長として、私は福島第一原発事故に関わった多くの当事者たちから話を聞いてきましたが、彼らの責任回避の姿勢は目に余るものでした。あの原発事故は人災だった—そう思わざるをえません。 だからこそ、私たちは、あの事故から多くの教訓を学ばなければいけません。しかし、震災から5年が経ったいま、強い揺り戻しが起こっています。各地の原発で再稼働へ向けた動きが進み、安倍晋三総理は原発推進の姿勢を隠さない。日本人は何を学んだのでしょうか。日本の未来への危機感を覚えています。 そう語るのは、東京大学名誉教授で、政策研究大学院大学客員教授の黒川清氏だ。黒川氏は、'11年の東日本大震災後、国会に設置された