太平洋戦争末期の沖縄戦で住民に集団自決を命じたとする虚偽の記述で名誉を傷つけられたとして、元日本軍守備隊長らが「沖縄ノート」の著者大江健三郎さん(73)と岩波書店を相手に、出版差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が31日、大阪高裁であり、小田耕治裁判長は請求を退けた一審判決を支持、元隊長らの控訴を棄却した。 一審と同じく、日本軍や元隊長による自決命令の有無などが主な争点だった。 小田裁判長は一審に続き、「軍が集団自決に深く関与したことは否定できない」と指摘。一方、命令の有無についても「証拠上断定できない」と一審とほぼ同じ判断を示した。 その上で、「元軍人らの直接的な自決命令の真実性は揺らいだが、命令を真実と信じる相当な理由があった」として名誉棄損を否定した。 【関連ニュース】 ・ 〔終戦特集〕太平洋戦争の歴史を振り返る ・ 死刑廃止、前向きに検討を=日本政府に勧告-国