『シルヴィーとブルーノ』(Sylvie and Bruno )は、ルイス・キャロルの存命中に出版された最後の小説。1889年に第1編が出版され、1893年に続編である『シルヴィーとブルーノ・完結編』(Sylvie and Bruno Concluded )が出版された。両編共に挿絵はハリー・ファーニスが手掛けた。 2022年現在日本で商業的に出版された邦訳はこの第1編のみであり、『完結編』邦訳はファンの努力により同人誌として刊行されているものの、広く手に入る状況ではない。第1編ではアーサーの悲恋に終わった結末が、『完結編』では結婚に至るなど大きな展開がある。この記事では英語版を参考に、『完結編』までの全体について記述する。 『シルヴィーとブルーノ』は2つの主要なプロットから成り立っている。一方は本書が出版されたのと同時代(ヴィクトリア朝)の現実の世界を舞台にした物語であり、もう一方は架空の