一旦、社会を離脱すると、なかなかリスタートラインに立てない壁がある。 40代のサイトウさん(仮名)は、2年ほど前、契約社員として勤めていた都心の印刷会社を突然辞めた。以来、都内の昔ながらの賑やかな住宅街で、両親とともに住んでいて、現在も仕事をしていない。 職場環境が良くとも 「何となく」会社を辞める大人たち 元々、社内の従業員の紹介で入った会社だった。しかし、その紹介者は少し前に辞めていった。時々、一緒にお茶を飲んだりしたという女子社員も退職した。 主に教材の印刷を任されていた。製本から配送手配まで、忙しいときには休日もなく、1日、ほとんどフルに働いた。給料の中から、実家に間借りする身として、親にも毎月、食費を支払っていた。 職場内は、人間関係も悪くなく、居心地のいい会社だったという。でも、自分のやりたいこととはまったく違っていた。 「このままでいいのかな」 と、心のどこかで、いつも少し疑