パラリンピックの選手と競技を紹介するNHKの番組を見ていたら、昔読んだ『ドクター・アダー』というSFを思い出した。病気や怪我でもないのに、任意の手足を切断する手術を施す、闇の外科医が主人公。手術を受けるのは娼婦たちで、近未来のその社会では、肢体を切断した女性が性交の対象として、高級かつ大モテなのだった。 熱に浮かされたような毒々しい小説だったが、ストーリーはあらかた忘れた。検索してみると、作者はK・W・ジーター(黒丸尚訳・ハヤカワ文庫)。90年に刊行され、現在は「出版社品切れ、重版未定」になっている。訳者も、すでに亡くなっていた。原作の執筆は72年だが、さすが米でもヤバすぎてか、出版されたのが84年だった。 すっかり失念していたが、女性器の内側に生えた鋭い歯で、挿入した陰茎が食いちぎられるエピソードもあるとか。わたしは、これをテーマにピンク映画を撮ったことがあるが、元ネタはこの小説にあった