FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長は、6月3日の講演でドル安の行き過ぎを牽制する発言を行った。過去10年以上、FRB幹部は基本的に為替相場に関して言及しない姿勢をとってきた。為替政策の第1の責任者は、米財務省だからである。このため、3日の発言はかなり意外感のあるものだった。昨年秋以降の金融緩和局面では、FRBはドル安が輸出や国内観光業を下支えしている効果を認めてきたが、ここにきて、輸入物価の上昇を懸念せざるを得なくなってきたようだ。バーナンキ議長は次のように語った。 「我々はドルの価値の変化が、インフレやインフレ予想に及ぼす影響に用心深くなっている。我々は“2つの使命”(雇用の最大化と物価の安定のこと。5月29日付けコラム参照)に対するリスクを防ぐために政策 を形成し続けていくつもりだ。そのリスクは、長期インフレ予想を脅かすリスクも含んでいる」 5月30日に発表されたミシガン大学/