北アルプスの剱岳(標高2999メートル)周辺で28日、遭難事故が相次ぎ、1人が死亡、2人が重傷を負った。 午前8時50分頃、剱岳に続く早月尾根の通称「カニノハサミ」近くの登山道(約2950メートル)から、富山県上市町黒川、同県職員伊藤富夫さん(59)が約100メートル下に転落、頭を強く打って死亡した。 上市署の発表によると、出動中の県警山岳警備隊員が転落する伊藤さんを目撃した。伊藤さんは単独で剱岳山頂を目指していたとみられる。 この事故の約50分前には、カニノハサミで落石があり、同県射水市南太閤山、無職安田諭三さん(69)、同県高岡市野村、無職後明(ごみょう)真由美さん(61)が、いずれも右腕骨折の重傷を負った。2人は、8人のパーティーで剱岳頂上に向け登山中だった。