安倍内閣が「教育勅語(ちょくご)」について、「憲法や教育基本法に反しない形」で教材として使用を認める閣議決定をした。かつて国会で「基本的人権を損ない、国際信義にも疑点を残す」として排除までされ、影を潜めてきたが、第2次安倍政権になって、閣僚などから肯定的な評価が相次ぐ。 教育勅語は1890年10月、明治天皇が君主に奉仕する臣民の教えとして示したもので、戦前・戦中の教育の根本理念とされた。 「朕(ちん)(天皇が自身を呼ぶ言葉)惟(おも)フニ」から始まり、父母への孝行など臣民が守るべき徳目が示されている=文部省図書局の「全文通釈」参照。最後に「皇祖皇宗の遺訓」として、君民一体で守ることが期待されている。天皇を中心とした国家観に貫かれ、徳目の最後の「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」が、天皇のために身を捧げる軍国主義につながったという指摘もある。 学校に配られた謄本(写し