デザインに必要なのは、絵を描く能力だけではない。むしろ、より重要なのは、対象となる企業やブランド、商品やサービスの特徴や信念、価値観を表現すべく「言葉」で整理・設計することである。デザイナーだけの特殊能力ではないデザインを、実際のロゴづくりのプロセスをなぞりながら体験してみよう。 「デザインする」と聞くと、特別なツールを用いて絵やモチーフを描くことを想起する人も多いはず。しかし、アートディレクターとして働く私の場合、その対象にまつわる言葉を整理し編集する作業がほとんどで「描く」作業は多くありません。デザインの仕事で最も大切なのは、いかに上手な絵を描くかではなく、対象物に込められた価値観や特徴などを引き出し、整理するプロセスだからです。 私はいままでたくさんのデザインを手がけてきましたが、今回はいちばんミニマムな「ロゴ」でお話したいと思います。 私の場合、ロゴづくりのステップは3段階。(1)