北朝鮮の金正日総書記の死亡発表を受け、金融市場で、欧州債務危機や世界経済の減速に加え、東アジア地域の「地政学リスク」が新たな不安材料になっている。体制崩壊や半島有事が意識されており、市場関係者も、北朝鮮の権力継承の行方などを注視している。 「市場は韓国との衝突などを意識し、『有事の際のドル買い』に走っている」 野地慎SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジストは、市場の動揺をこう指摘する。株式が売られる一方で、安全資産の代表格である米国債を買う動きもみられた。 地理的に近い韓国や中国、日本以外にも広くアジア各国の株式や通貨が売られる可能性もあり、「ドル以外のリスク資産を売却する動きが加速しかねない」(大手証券)との懸念が広がっている。 世界経済を牽引してきた中国などアジアの新興国では、欧州危機の影響で景気が減速しており、北朝鮮リスクで資金流出が一段と強まれば、景気の下振れ圧力が高まるのは必