英米の前衛文学や革新的SF、ウィリアム・S・バロウズの名翻訳家であり、経済や社会問題については舌鋒鋭い論客としても知られる山形浩生氏。経済学者のポール・クルーグマンやネット社会における法を考えたローレンス・レッシグなどをいち早く日本に紹介し、自らもWeb上で著作や翻訳をオープンにして活動を続けてきた。文学、経済、社会、科学、環境、コンピュータ、データマイニング、サブカルチャーなどなど、知の領域を変幻自在にクロスオーバーさせて執筆を続ける著者は、翻訳家を目指す人、本当の教養を身につけたい人にとって、ひとつのあるべき姿かもしれない。その著者が、ロングセラー『新教養主義宣言』からおよそ10年ぶりに、翻訳書ではない新刊『訳者解説』を刊行。その間の活動や、現在を聞いてみる。 ――『新教養主義宣言』(河出文庫)を改めて読み返してみると、知的なインフラの重要性をすでに10年前に説いていらっしゃることがわ