グローバル化と税率競争 1983年ころから、各国の法人税や最高所得税率が下がっていることが指摘されている。時期的に冷戦末期で、グローバル化が進展してきたころであり、国が税率を下げて人やカネを呼び込もうとする税率低下競争(tax competition)が起きたのではないかと考えられている。税率低下競争といっても単に税率が下がるだけならまだ問題は少ないが、その恩恵はいとも簡単に国境を越えられる企業や富裕層に偏って享受され、そう簡単に生活基盤を捨てられない庶民にとってはその恩恵は受けにくい。そのため、税率低下競争は実質的には累進性を緩める競争となって富裕層を利し1、不平等拡大に寄与しているという考えは根強い2。また、税収や累進性の低下により社会保障の持続性が損なわれる可能性を危ぶむ声も強い34。 人口小国がタックスヘイブン化するメカニズム 税率低下競争の中でも、租税回避地(タックスヘイブン)は