『小津の切り返しショット[2]』で、検証から漏れていた代表的なパターンがあった。正面で向き合って会話するパターンだ。たとえば『秋日和(1960年)』での“ゆで小豆”を食べるシーン。 ツーショットでは、二人がズレて座っているようにも見えるが、手前のテーブルの模様から推測すると司葉子の左肩あたりの延長線上にカメラがあるようだ。二人とも俯いているので視線のラインは描いていない。 切り返しでは、お互いの真正面からのショットを想定したとすると、いつものように目線が微妙に“同じ方向に”外れている。これこそ「AもBも同じ方向を向くシーン」だろう。そして、これが「切り返しショットがイマジナリーラインを超えて真正面から捉える手法の大原則が破られることはなかった(Wikiより)」という事? 二人の位置関係が真正面だとするとイマジナリーラインは2本あることになる。しかも、どちらのラインも“またいで”いるので、ダ