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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (14)

  • どうすれば相手の意見を変えられるのか──『エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』 - 基本読書

    エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか? 作者:リー・マッキンタイア国書刊行会Amazonこの『エビデンスを嫌う人たち』は、『「科学的に正しい」とは何か』の邦訳が先日刊行された気鋭の哲学者リー・マッキンタイアによる「科学否定論者を説得するための方法」についての一冊である。科学否定論者とは、たとえば人為的な気候変動は起こっていないと主張する気候変動否定者に、反ワクチン、反コロナ、果てには地球は平面だと主張する地球平面説を支持している人らのことを指している。 こうした科学否定論者に共通点は存在するのか。また、彼らにエビデンスを提供することでその考えを変えることができるのか。エビデンスを提供するといっても、どのように提供するのが最も効果的なのか。エビデンスで人の意見が変えられないのだとしたら、他に変える方法はあるのかを、様々な研究をもとにして紹介する──だけでなく、

    どうすれば相手の意見を変えられるのか──『エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』 - 基本読書
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    slm 2024/06/21
  • われわれは運動をするために進化してきたわけではない──『運動の神話』 - 基本読書

    運動の神話 上 作者:ダニエル E リーバーマン早川書房Amazonこの『運動の神話』は、『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』などの著作や、身体活動に関する研究で知られる人類学者ダニエル・E・リーバーマンによる、運動についてのノンフィクションである。書名に「運動の神話」とついているのは、書が運動にまつわる神話とその実態を紐解いていくだからだ。 たとえば、運動の神話のひとつに「私たちは運動をしたがって当然だ」というものがある。われわれはもともと狩猟採集民で、日頃ずっと歩いたり走ったりと身体活動が活発な状態にあったわけだから、体を動かすのが当然なのだと。そうやって運動を推奨し、運動は薬だ、老化と死期を遅らせる魔法の薬だ、と吹聴しつづける人たちもいるが、著者はそうした人たちのことを”エクサシスト”(exercist)と呼んでいる。 運動なんてしたくなくて当然だ 実際のわれわれは

    われわれは運動をするために進化してきたわけではない──『運動の神話』 - 基本読書
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    slm 2022/11/26
  • 弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書

    AI監獄ウイグル 作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材をしその結果をまとめた一冊になっている。 書で描き出されているのは、チャットアプリによるメッセージや電話がすべて監視され、家の前には個人情報が詰まったQRコードが貼られ、身体情報から移動履歴などすべてのデータを元に犯罪を起こす可能性のある人物をAIが自動的にピックアップする「デジタルの牢獄化」したウイグルの姿である。これまで、断片的なニュース情報を読むことでウイグルで相当なことが行われていることはわかっていたつもりだったが、実際に収容所などを体験した人物のレポートはあまりにも衝撃的だ。 読み終えた夜は、自分が強制収容所に入っている悪夢を見たぐ

    弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書
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    slm 2022/01/23
  • アメリカの感染症対策の軌跡を追う『最悪の予感』からALSを発症した著者が自身をサイボーグ化する過程を描いた『NEO HUMAN』までいろいろ紹介! - 基本読書

    はじめに の雑誌462号2021年12月号 の雑誌社Amazonの雑誌2021年9月号のノンフィクションガイド原稿を転載します。今回もいい感じの大作ぞろい。なんといってもマイケル・ルイスの『最悪の予感』は大作だし、ALSにかかった著者が技術で自分の身体をハックしていくさまを描いた『NEO HUMAN』もよい(ちょっともにょるところもあるんだけど)。『読む・打つ・書く』も科学書の書評を書くことが多い身としては参考になるところが多く──とみんなよいだ。 あと今月発売のの雑誌2021年12月号もよろしくね。12月号で僕の新刊めったくたガイドの任期(2年)が終わったので、次号からは担当を外れることになります! の雑誌2021年9月号 最悪の予感 パンデミックとの戦い 作者:マイケル ルイス早川書房Amazonまず紹介したいのは、統計データに注目しこれまでとは異なる選手評価を確立していく

    アメリカの感染症対策の軌跡を追う『最悪の予感』からALSを発症した著者が自身をサイボーグ化する過程を描いた『NEO HUMAN』までいろいろ紹介! - 基本読書
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    slm 2021/11/13
  • 無秩序な日本中世を振り返り、現代の当たり前を見直すエンタメ歴史ノンフィクション──『室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―』 - 基本読書

    室町は今日もハードボイルド―日中世のアナーキーな世界― 作者:清水克行新潮社Amazon最近日に住んでいるフランス人や中国人YouTuberだったり海外YouTuberの動画をだらだらと見ていることが多いのだが、同時代を生きていたとしても国ごと、コミュニティごとで常識は異なっていて、なんで日の店はきんきんに冷えた水が出てくるの?? とか、そうした違和感を聞くのがおもしろい。どちらが良い/悪いという話ではなく、どちらにもその土地の歴史や風習と絡み合ったものであって、「は〜そういう考え方があるんだなあ」と当たり前だと思ってきたものを見直すことができる。 で、そうした違和感や驚きを得られるのは、時代が離れた同じ国の中でも同じことである。書『室町は今日もハードボイルド』は、日の中世史を専門として『耳鼻削ぎの日史』や高野秀行との共著『世界の辺境とハードボイルド室町時代』で知られる学者の清

    無秩序な日本中世を振り返り、現代の当たり前を見直すエンタメ歴史ノンフィクション──『室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―』 - 基本読書
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    slm 2021/08/02
  • 寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』 - 基本読書

    絶望死のアメリカ――資主義がめざすべきもの 作者:アン・ケース,アンガス・ディートン発売日: 2021/01/18メディア: Kindleアメリカでは今、絶望死が増えている。絶望死とは、アルコールや薬物依存による死亡、自殺の死因をまとめたもので、45歳から54歳の白人男女による絶望死は、90年には10万人中30人だったのが、17年には10万人中92人まで増えた。自殺率も、アルコール性疾患による死亡率も、薬物の過剰摂取による死亡率も増加している。 20世紀から21世紀にかけて、糧事情も改善し医療の発展があったこともあって、死亡率は改善されてきた。アメリカでも、45〜54歳の白人が心臓病で死ぬリスクは、80年代までは年平均4%で落ちていた──が、90年代には2%に鈍化、00年代には1%にまで落ちて、10年代からは逆に上がり始めた。ここでは中年の白人に限定しているが、若年層の絶望死も増えて

    寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』 - 基本読書
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    slm 2021/02/12
  • 週刊文春はなぜスクープを連発することができるのか──『2016年の週刊文春』 - 基本読書

    2016年の週刊文春 作者:柳澤 健発売日: 2020/12/15メディア: Kindle版スクープを連発する日一の週刊誌「週刊文春」と、その中でも二大編集長である花田紀凱と新谷学を中心に取り上げた文藝春秋闘争記である。僕は特集が気になった月刊文藝春秋を読むぐらいで、週刊文春は手にとった記憶がない。僕が普段読むようなではないが、年末年始で僕の好きな翻訳系科学ノンフィクションの刊行も少なく、評判もいいので読んでみたら、これが世評通りに大変おもしろい。 なぜ2016年なのか。 書が刊行されたのは昨年の12月のことである。であればなぜ、2020年ではなく2016年の週刊文春なのか、というのが最初に気になったところだが、読んでいて思い出したが、2016年は紙の週刊文春が光り輝いていた最後の時代なのであった。2016年早々に甘利明経済再生相の金の疑惑を報じ、ベッキー&川谷の不倫を報じ、清原和博

    週刊文春はなぜスクープを連発することができるのか──『2016年の週刊文春』 - 基本読書
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    slm 2021/01/17
  • 今年ベスト級ノンフィクション『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』やアメリカの民間刑務所の実態を描き出す『アメリカン・プリズン』を紹介!(本の雑誌2020年7月号掲載) - 基本読書

    まえがき の雑誌2020年7月号掲載の原稿を転載します。記事名にも入れているけど、『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』は大作ひしめく今年のノンフィクションの中でも上位にい込む一冊だった。人生というのはリスクに満ち溢れていて、我々にできるのはできるかぎりリスクを減らし、時にリスク覚悟で突っ込んでいくことだけだ。 もう一つ、地味におもしろかったのがアメリカの民間刑務所のひどすぎる実態を潜入調査した『アメリカン・プリズン』。囚人一人あたり何ドルともらえる金がきまっているので、民間刑務所としては囚人一人あたりに金をかけなければかけないほど儲かるというインセンティブが生まれて、異常ともいえる仕打ちが横行しているんだよね。ほんと、読んでてびっくりしただった。この月はスゴの人のスゴも紹介! 原稿 もうダメかも――死ぬ確率の統計学 作者:マイケル・ブラストランド,デイヴィッド・シュピーゲルハルタ

    今年ベスト級ノンフィクション『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』やアメリカの民間刑務所の実態を描き出す『アメリカン・プリズン』を紹介!(本の雑誌2020年7月号掲載) - 基本読書
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    slm 2020/12/11
  • 「折りたたみ北京」の郝景芳による、中国から見た1984年──『1984年に生まれて』 - 基本読書

    1984年に生まれて 作者:郝景芳発売日: 2020/11/24メディア: Kindle版この『1984年に生まれて』は、郝景芳によって書かれた、中国の1984年前後から00年代頃までの情景が描かれていく長篇小説である。郝景芳はヒューゴー賞を受賞した「折りたたみ北京」をはじめとし、日でも単独短篇集である『郝景芳短篇集』が白水社から刊行、この長篇も刊行され、と世界的に人気の高い中国作家の一人だ。 で、書は実際に1984年に生まれの著者による「自伝体小説」である。自伝体小説とは、あったことをそのまま自伝として描くわけではなく、その時代、その年齢であった時に感じたことや経験を別の外面的イベントに乗せ、フィクションとして描いていくもののこと。著者のあとがきによると次のような部分に注目した小説だ『物事のディティールは服の上に身につける帽子や帯にすぎず、その事柄に対してどう感じるかということこそが

    「折りたたみ北京」の郝景芳による、中国から見た1984年──『1984年に生まれて』 - 基本読書
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    slm 2020/11/30
  • 人類の英知がこの一冊に詰まった文明速攻再始動マニュアル──『ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』 - 基本読書

    ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド 作者:ライアン ノース発売日: 2020/09/17メディア: Kindle版この『ゼロから作る科学文明』は、もしもあなたがタイムトラベラーではるかな未来から過去の世界に飛んでしまい、さらに戻る手段がなくなったとしたらどうやって文明を再興するのか──について書かれた一冊である。 実はこれと同じ発想のが5年前に邦でも翻訳で刊行されている。それは『この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた』というで、最初書(ゼロから〜の方)の書名と内容をみたとき、あまりにも『この世界が〜』とかぶっていそうだったんで、「色んな意味で大丈夫なのかな?」とビクビクしながら読み始めたんだけど、きっちりこの世界が〜の著者ルイス・ダートネルからの推薦コメントも存在しているし、何よりの最初の前提の置き方がこの二冊では異なっているので、書かれている

    人類の英知がこの一冊に詰まった文明速攻再始動マニュアル──『ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』 - 基本読書
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    slm 2020/09/20
  • 二年連続でヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した、自省的な人型殺人警備ユニットの日常録──『マーダーボット・ダイアリー』 - 基本読書

    マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫マーダーボット・ダイアリー 下 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫この『マーダーボット・ダイアリー』はマーサ・ウェルズのSFアクション連作中篇集である。上下それぞれに二篇の中篇が収められていて、特に上巻の「システムの危殆」はヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の各ノヴェラ部門を授賞。続く「人工的なあり方」もヒューゴー賞、ネビュラ賞を授賞と(賞的な意味で)評価の高い作品。 それにこの創元文庫版は安倍吉俊のイラストもあいまって刊行がたいへん待ち遠しかったんだけれども、読んでみたらこれが期待通りのおもしろさ! 全篇通して自分のことを一人称で「弊機」を呼ぶ人型警備ユニット

    二年連続でヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した、自省的な人型殺人警備ユニットの日常録──『マーダーボット・ダイアリー』 - 基本読書
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    slm 2019/12/15
  • 人生を作品のつながりを浮き彫りにする、大作伝記──『ミヤザキワールド ─宮崎駿の闇と光』 - 基本読書

    ミヤザキワールド ─宮崎駿の闇と光─ 作者: スーザンネイピア出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/11/06メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るアニメーションと日文化の研究者スーザン・ネイピアが真正面から宮崎駿を捉えて書いた伝記である。宮崎駿については日語では膨大に語られた資料があり、人の真意もいまいち捉えがたい面があり、作品的にも──と日文化に精通していないと真正面からの伝記はなかなか難しいんじゃないかな──と若干侮っていたんだけど、読みはじめてしばらくしたらいやあこれはすごい! と惚れ込んでしまった。 情熱的な筆致で、同時にとてもロジカルで、先行の研究や批評を丁寧に織り交ぜながら、自身の見解もしっかりと取り込んでいく。宮崎駿の人生と作品をおっていく中で、特に重要な部分についてはしっかりと文字数を費やしてアニメのシーンを描写していくのだけど、その文章が

    人生を作品のつながりを浮き彫りにする、大作伝記──『ミヤザキワールド ─宮崎駿の闇と光』 - 基本読書
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    slm 2019/11/09
  • 絶望的な負け戦をどう戦うか──『NOKIA 復活の軌跡』 - 基本読書

    NOKIA 復活の軌跡 作者: リストシラスマ,田中道昭,渡部典子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/04メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るノキア、復活の軌跡というけれど僕の中でノキアが復活したというイメージはまったくなかった。どちらかといえば、2011年まで世界最大の携帯電話端末メーカーだったのに、まったくスマートフォン時代についていけずに失墜し、その後は携帯電話事業をマイクロソフトに売り渡し、その後どうなったのか完全に意識の外にいって消えていた存在だけれど、今は残された通信技術の会社として、フランスの通信機器大手とも合併をし、と世界の通信事業者の中でも巨大な位置を占めているんだなあ。 書は2008年にノキアの取締役に就任し、最も苦しい時期のノキアの舵取りを任されてきたリスト・シラスマによるビジネス体験記になる。復活の軌跡とはいうが、現代はT

    絶望的な負け戦をどう戦うか──『NOKIA 復活の軌跡』 - 基本読書
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    slm 2019/07/15
  • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

    三体 (ハヤカワ文庫SF) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカ歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋におもしろいSF

    中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
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    slm 2019/07/08
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