日本の自動車産業とエレクトロニクス産業はなにかと比較されてきた。同じところもあれば,違うところもある。いずれも高い技術力を誇り,製造業発展の牽引役である。一方で,このところ国際競争力という面では絶好調な自動車産業と,精彩を欠くエレクトロニクス産業という差が出てきてしまった。同じ日本の製造業でありながら,なぜこのような差が生まれてしまったのか。両者には何か構造的な違いがあるのだろうか---。 これまで様々な観点から比較・検討されてきたが,相手の良さを勉強して自らの競争力を上げる参考にしようというややノンビリしたものであったように思う。相手の良さを知ったところで,自分とは事情が違うという思いがあった。それがこのところのカーエレクトロニクス化の進展によって事情が変わってきた。 自動車産業とエレクトロニクス産業という「異質」のものをうまく結合させなければ成功はおぼつかないのである。そのためにも,両
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