本コラムの目的は、(広域地方計画を含む)国土形成計画やその基盤となる「地方庁」(仮称)の創設を提言することにある。人口減少や少子高齢化が進み、政治の役割は「負の分配」に転換した。にもかかわらず、政治はこれに対応できず、機能不全に陥りつつあり、閉塞感に包まれている。道州制を含む地方分権が政治的な調整コストの分散化や改革の原動力となるとの仮説に基づき、やや大胆な試みだが、論じていく。 まず、経済のグローバル化や人口減少・少子高齢化が進む中、日本が直面している課題を簡潔に整理してみよう。そもそも、日本が抱える大きな課題は3つある。 人口減少、地方消滅、そして… 第1は、急速に進む「人口減少」である。人口減少は「静かな有事」といっても過言ではない。国立社会保障人口問題研究所の「将来人口推計」(平成29年版、出生中位・死亡中位)によると、人口減少のスピードは今後勢いを増していく。2017年の人口減少