7日に投開票された東京都知事選で、東京では全く新顔の前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏(41)が、立憲民主党や共産党などが支援する前参院議員の蓮舫氏(56)を押さえて2位となる見通しだ。主要政党や組織の支援を受けない石丸氏の選挙戦で実動部隊を担い、「石丸フィーバー」(選対幹部)を演出したのは、どんな人たちだったのか。(佐藤裕介)
リニア中央新幹線の工事を進めるJR東海は4日、甲府市と山梨県中央市にまたがる山梨県駅(仮称)、長野県飯田市の高架橋の完成がともに2031年になる見通しを公表した。静岡県が着工を認めていない静岡工区以外で、開業を断念した27年を超える工期が明らかにされたのは初めて。「27年開業はそもそも困難だったのでは」との受け止めが広がる。(西田直晃) 「工事の内容を精査したところ、27年までに完了させるのは難しい」。4日の静岡市内での会見で、JR東海の沢田尚夫常務はこう述べた。いずれも来年度の着工を目指す山梨県駅は6年8カ月、リニア本線が通る座光寺高架橋は5年10カ月の工期を要するとした。 3月末に東京・品川-名古屋間の27年開業断念を明らかにした際、同社は「静岡の工事の遅れ」を理由とした。山梨、長野の工期の遅れは「地元との協議などに時間を要した」ためとし、静岡の遅れの範囲に収まることからあくまで「開業
22日の都感染症対策連絡会議で報告があった。2024年の患者は17日時点で88人。141人だった23年と比べ3倍のペースで感染が確認されている。23年は約3割の42人が死亡した。 病原菌は、子どもを中心に流行する「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)」のほか、B群、C群などがある。手足の痛みや発熱から始まり、症状が急激に進行する。数十時間以内に多臓器不全を発症する。手足の壊死(えし)を引き起こすこともあるため「人食いバクテリア」とも呼ばれる。発症のメカニズムは解明されていない。 都によると、患者は40代が多く、23年に子どもを中心に流行した溶連菌感染症から大人に感染するなどした可能性があるという。英国で10年代から増えている感染力の強い変異株「M1UK株」への置き換わりも感染拡大の要因とみている。都は感染の傾向を分析し、医療機関向けの対応ガイドライン改定を進めている。(渡辺真由子)
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、パレスチナ自治区ガザの支援を担う「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)」の清田(せいた)明宏保健局長(63)が来日中の16日、「こちら特報部」の取材に応じた。UNRWAの一部職員がハマスのイスラエル攻撃に関与した疑いが浮上し、日本などが資金の拠出を停止したが、清田氏は人道的観点から拠出再開を切望した。(北川成史) 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) 1949年の国連総会決議に基づき設立された。パレスチナ自治区のガザやヨルダン川西岸のほか、ヨルダン、レバノン、シリアで、パレスチナ難民支援のため、学校や病院、避難所の運営などを担う。ガザでは約1万3000人のスタッフを雇っている。支援国・機関の拠出金で支えられ、2022年の拠出金総額約11億7000万ドル(約1755億円)のうち、国別1位は米国の約3億4000万ドル(約510億円)
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインで知られるが、実は「SFよりもノンフィクションが好き」。古代史と近現代史を一連として「歴史ものばかり」の漫画作品を自ら解説した本書からは、テーマ性や歴史観を感じ取れる。ふんだんに掲載された原画は、墨汁の濃淡や筆の軌跡、汚れまで再現していて、「臨場感が違うのでは」と納得の出来栄えだ。 歴史ものの契機は、『古事記』の漫画化の依頼。「自分なりの解釈でアレンジしていいなら」と引き受けた。古事記をあくまで「歴史書」と捉え、記述に整合性を持たせるエピソードを展開。神として伝わるイザナミやスクナビコナらも人間として登場する。「全くの空想の産物ではないはず。漫画だから、『事実らしい』でいい」。得意の「脇から描く」手法も駆使し、『ナムジ』ではスサノオではなく、オオクニヌシを主人公に据えた。「はす交いから見ると面白く表現できるから」
気象庁がマグニチュード(M)7.6と発表した能登半島地震。過去をたどると不可解な点が浮かぶ。地元の石川県は2012年、今回の震源地の能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると試算したが、家屋倒壊などの被害想定を示さず、地震対策の議論を先送りした。当時から住宅の耐震化などを進めていれば「救えた命」がなかったか。「地震リスクが周知されず」で済ませていいか。(西田直晃、木原育子)
2023年最後の取引となった大納会の29日、東京株式市場は日経平均株価(225種)が前年末に比べて7369円67銭高い3万3464円17銭で取引を終えた。年末の株価としては過去最高だった1989年以来、34年ぶりの高値となった。業績好調な大企業は株式市場をけん引した半面、稼ぎを人件費に回す割合「労働分配率」は4割ほどと過去最低の水準だ。識者は「大手企業は賃金に回せる余裕がある」と指摘する。(押川恵理子) 労働分配率 企業の生みだした付加価値が、どれだけ働く人に還元されているかを示す割合。高いほど働く人への配分が手厚いと言えるが、高過ぎると経営を圧迫する。本紙は財務省の法人企業統計(金融、保険業を除く)をもとに、人件費を付加価値(経常利益、人件費、減価償却費などの合計)で割って、分配率を算出した。ほかに、経常利益の代わりに本業のもうけである営業利益を使う算出方法や、雇用者報酬を国民所得で割る
自民党の最大派閥・安倍派(清和政策研究会)が、政治資金パーティーを裏金づくりに利用していた疑惑で東京地検特捜部の捜査が進んでいる。この問題で、地検への告発を続けてきた神戸学院大の上脇博之教授が本紙の取材に応じた。政治にカネがかかりすぎる現状の抜本的な見直しが必要だとして「政党助成金、企業献金、パーティーの全廃」と「政策本位で当選する仕組み」の実現を訴えた。(聞き手・望月衣塑子) 告発の契機は昨年11月の「しんぶん赤旗」の記事だった。2018年から20年までに、安倍派など5派閥の政治団体の政治資金収支報告書に計約2500万円の不記載があったと報道。これは、各業界がつくる政治団体のパーティー券購入などの支出を調べ、それと派閥の収入を一個一個照らし合わせないとだめで、かなり地道な作業だったはず。よくここまで調べたなと感心した。 この際に赤旗からコメントを求められたこともあり、18~21年の4年間
統一地方選で、議会の勢力図が激変したのが東京都杉並区だ。女性の当選者が男性を上回り、現職や最大勢力の自民党の候補が大量落選。新陳代謝を印象づけた。変化を引き起こしたものは何か。(原田遼)
「近くの公園は、注意書きの看板だらけで入るのに躊躇(ちゅうちょ)する。これで楽しく遊べるのだろうか」。東京都練馬区の飯沢(いいざわ)文夫さん(73)から、本紙の「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。この公園では、1枚もなかった禁止看板が、開園から6年で24枚にまで増えていた。なぜ禁止だらけの公園になってしまったのか。(青木孝行)
日本は隣接する中国、ロシア、北朝鮮が核保有国で非友好的な関係にある上に、独裁国家で現状に不満を持っている点も共通し、厳しい安保環境に直面している。今後10年ほどは日本も軍備拡張をしなければならない局面だ。だが、日本政府が検討する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有は不要だと思う。相手に攻撃を思いとどまらせる抑止として機能するか、怪しいからだ。 抑止はもともと核兵器とともに練り上げられた概念で、基本的に耐え難い苦痛を与える能力を持ち脅し、相手がそれを脅威と認識しないと成り立たない。相手基地の滑走路に撃っても1日で修復されるような被害しか与えられない通常弾頭のミサイルを仮に1000発持っても、中国のような核保有国が脅しと感じるだろうか。移動式ミサイルを正確に破壊するのも難しい。抑止ではなく制空権の確保の時間稼ぎになる程度だろう。 逆効果を生む恐れもある。いくら日本が反撃専用で先制攻撃をしないと言っ
ウクライナ侵攻を続けるロシアが、東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)で占拠した地域のインフラなどの「再建」に、北朝鮮労働者を活用する方針が明らかになった。国連安保理の制裁下にある北朝鮮と、欧米との対立を深めるロシアの思惑が一致した格好。領土の占領、荒廃に苦しむウクライナや、欧米諸国の強い反発を招くのは必至だ。(ヨーロッパ総局、ソウル・木下大資) ロシアのフスヌリン副首相によると、既に北朝鮮に対して労働者派遣を要請済みという。「北朝鮮人は勤勉で生産性が高い」とタス通信などに説明し、早期の労働者受け入れに期待した。2017年に採択された国連安保理の対北制裁決議で各国の北労働者受け入れは制限されているが、ドンバスの親ロ派自称共和国は「国連に加盟していないため問題ない」(ロシア外務省)との立場だ。 韓国の統一研究院の趙漢凡(チョハンボム)研究委員は「ロシアはドンバス再建に提供できる人員の余
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