E-Bookビジネスの最大の逆説は、アマゾンの独占を怖れ、嫌悪する大手出版社が、市場においては(その意図に反して)アマゾンによる独占を助ける行動をとり、それによってアマゾンへの依存度を高めているということだろう。初めて小売価格決定権を手にした大手出版社は、値上げによって消費者を敵に回すという最悪の状況に陥ってしまった。日本でも多くの読者を持つ著名なジャーナリストのダン・ギルモア氏は、衝動買いを止め、図書館と古書店を見直すに至った経緯を英紙Guardianに綴っている。 市場に背を向け、消費者と戦う大手出版社に未来があるか 熱くなった頭を冷まし、新しい刺激を得るには濫読が心地よい。それでもやはり「本と出版」について考えると熱くなる。年末年始で、いくつかの興味深い論考に接したので、紹介しつつコメントしてみたい。この歴史的転換期の焦点は、デジタルを味方とするか敵とするか、そして誰が最もよく利用で