8月も終わりに近づく。 こうの史代『夕凪の街 桜の国』 『この世界の片隅に(全三巻)』 (いずれも双葉社)を再読する。 繊細で深い描写に感嘆しつつ (作画においても、背景にスクリーントーンを使わず、 すべて、青木雄二氏のように手描き)、 どうしようもない違和感を、私はぬぐえない。 戦時中の広島・呉を舞台にしていて、 なんで在日朝鮮人に関する描写がないんやろ? 特に「夕凪の街」の主人公が暮らす 「スラム」には、多くの朝鮮人が彼女のそばに、 まちがいなくいたはずやのに・・・・ 中沢啓治氏の『はだしのゲン』には、 朝鮮人被爆者が、リアルに描かれていた。 こうの氏の作品群は、傑作である。 淡々と語りつつ、深く胸に迫る力は、この作家ならではのもの。 それゆえ、私は恐れる。 彼女の巧みな絵と語りが読み手に、 「原爆被害」「戦争被害」を、「日本人だけの被害」 として受け止めさせる後押しをするのではないか
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