ロンドンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)は結局、失敗ではなかった。失敗どころか、事実上成功したと言ってもいい。 確かにその巧みな外交術を駆使したにもかかわらず、議長を務めたゴードン・ブラウン英首相は、地球を救ったと宣言することはできなかった。だが歴史家は、今回のサミットを経済危機と地政学的混乱に悪戦苦闘する世界が、鏡に映った自らの姿を初めてじっくり見つめた瞬間として記録するだろう。 政治を過程でなく結果で捉える者は失望しただろう。サミットが世界経済を回復させると期待していた、あるいは期待するふりをしていた者にとっても同様だろう。24時間放送のニュース番組が求めるような、即座に満足が得られる即効性ある解決策を講じるには世界は複雑すぎる。 サミット首脳宣言は、世界経済が直面する苦境に対する診断と、その治療法を巡る違いに対応するため、曖昧な言葉だらけとなった。不協和音を