「ルーカス登場から現在に至る50年余りのマクロ経済学は、現実の経済とはかけ離れた知的遊戯に変わってしまった」と現在の経済学を批判する東京大学の吉川洋名誉教授。その真意を聞いた。(聞き手=浜條元保/安藤大介・編集部) ── 現在の経済学のどこに問題があるのか。 ■歴史的な背景から整理しよう。1960年代のマクロ経済学といえば、ケインズ経済学だった。市場の役割(最適な資源配分)については新古典派のミクロ経済学、不況や失業、インフレなどマクロ経済学の問題を扱うのはケインズ経済学と、経済学は二刀流であるべきと考えられていた。これがポール・サミュエルソン(70年ノーベル経済学賞)の「新古典派統合」という考え方で、当時、世界中の経済学者に受け入れられていた。 しかし60年代後半、ケインズ経済学には新古典派のようなミクロ分析を積み上げていく「ミクロ的基礎付け」がないことが大きな問題として浮上した。また、

