敗戦後に中国に取り残された日本人残留孤児のことは多くの人が知っている。しかし、日本が戦後の経済成長中にアフリカに置き去りにした日本人の子どもたちについて知っている人は少ないだろう。本書は、そうした子どもたちの存在と苦難の人生を調査報道という「ペンの力」で日本社会に知らしめ、救済の光を当てようとするものだ。 時は一九六〇年代後半から八〇年代前半にさかのぼる。いざなぎ景気が続く中、日本を代表する鉱山企業の日本鉱業がアフリカ中部の資源国コンゴ民主共和国に進出し、巨大な銅鉱山を開設した。その際、現地に駐在していた日本人労働者とコンゴ人女性との間に生まれた五十〜二百人の子どもたちが置き去りにされたという。驚くべきは、そのコンゴ人女性の多くが十三歳から十六歳という少女たちであったことだ。一方、日本人労働者は二十代後半から四十代が中心だったとされる。 コンゴでは父系社会が色濃く残り、残された母親と子ども
![<書評>『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』三浦英之 著:東京新聞 TOKYO Web](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e6c774bf6d5d8fa202a64d2013a5049452f0f774/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fstatic.tokyo-np.co.jp%2Fimage%2Farticle%2Fsize1%2F4%2F7%2F6%2F7%2F4767e4faa74247a24dc4bce795cac66e_1.jpg)