2002年9月27日、新宿区歌舞伎町の風林会館1階にある喫茶店“パリジェンヌ”で、住吉会系幸平一家の幹部2人が、男数人に拳銃で襲撃されるという事件が起きた。被害者は幸平一家の幹部、X(34)とY(36)。時刻は19時前、人が繰り出し始めた夜の街、歌舞伎町は一時騒然となった。 「パリジェンヌ事件」と呼ばれるこの事件は、世間一般にはあまり有名ではないが、警察関係者には広く知られている。警視庁に外国人犯罪や暴力団組織を本格的に取り締まる「組織犯罪対策部」が設置されるきっかけとなったからだ。事件の概要や当時の歌舞伎町について、当時の警察関係者に話を聞くことができた。 カラオケが原因で中国人マフィアグループといさかいに その日、店の奥まった席でXとYは、中国人マフィアらを待っていた。2人は、正面入り口の自動ドアが開く度に鋭い視線を向け、相当に緊張していたらしい。当時のパリジェンヌは古びた純喫茶風の作