ここは日焼けとサーフィンと桑田佳祐の町、湘南。そして海岸。マサヒコはすばらしい気分で海岸のゴミをつぎつぎと袋に入れていった。そんなマサヒコの背中からは、ボランティア参加者特有のある種のアドレナリンが、汗と一緒に分泌されているように見えた。 マサヒコが袋をいっぱいにしていったん本部に持って行った時、マサヒコの胸もまた誇らしい気持ちでいっぱいだった。その時、マサヒコの心はゴミ袋とシンクロしていた。 「がんばってるね」ゴミ袋を受け取った人がマサヒコに声をかけた。 「ええ、いいことをするのは気持ちがいいですね」 マサヒコが青空の太陽にも負けない百点満点の笑顔で言うと、本部の人たちは嘲笑するように笑った。 「失礼じゃないですか」マサヒコはムッとして言った。 「失礼なのは君のほうだよ」 マサヒコが本部に来てから、ずっとただならぬオーラを放っていた老人がおもむろに立ち上がった。 「あなたは……」とマサヒ