道徳教育の場面において「女王のフィンガーボウル」というエピソードがしばし登場する。 これはイギリスの女王、ヴィクトリアの有名な逸話から引用したものだ。 女王がある国の貴族を招いて食事会をした際、手を使って食べる料理が出された。 当然、その際に指を洗うフィンガーボウルも出されたが、招かれた貴族は文化の違いからそのフィンガーボウルの使い方が分からず、飲料水だと思って中の水を飲んでしまったのだ。 しかしながら、女王はそのマナー違反に対して意外な行動をとった。怒るでもなく、間違いを指摘するでもなく、笑い者にするでもなく、気分を悪くするでもなく、全く別の行動をとったのだ。 それは、自らもそのフィンガーボウルの水を飲むことだった。まるでこの水の使い方はそれで正解だと思わせ、来客に恥をかかせることなく和やかな雰囲気で食事会を終えることができたのだ。 女王のとった行動は大きなマナー違反であるが、これは形式
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