子宮頸管腺から分泌される粘液は月経周期に伴って性状に変化がみられる。排卵期周辺のエストロゲンの分泌が亢進しているときは、水様透明状となり牽糸性が増して糸を引くようになる。それを乾かして顕微鏡でみると羊歯状の結晶となってみえる。この変化は精子を子宮内に取り込みやすくするためである。ちょうどスポンジのような網の目が形成され、毛細管現象のように精子は吸い上げられていくのである。排卵期にのみ精子を迎え入れる生殖器というお城の城門が開かれるのだ。 pHも7より若干上昇し、精子の環境に優しくなっている。精子は酸性側領域では頗る弱い。pHが下がると動きが悪くなり死滅してしまうのだ。しかも子宮の入り口となる頸管内に複雑に入り込んだ腺腔構造は格好の精子の貯蔵庫にもなっている。城門に入った溜まり場のようでもある。頸管腺より押し出され腟内にでた精子は、腟内の酸性の環境下でひとたまりもなく死滅してしまう。一刻も早