井上理 日経ビジネス記者 1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ この著者の記事を見る
グローバル・アントルプレナーシップ・モニター( Global Entrepreneurship Monitor:これ以降、GEM )では、世界の起業に関する調査が報告されている。今回は、この調査データを通して、日本における起業の状況と起業家のおかれている環境について考えてみたい。 GEMには55カ国が参加し、企業データが集計されている。こうした起業データがなぜ注目されているかというと、起業や事業の創造は、国家経済を活性化するための重要な経済活動だからである。起業活動によって新しいビジネスや雇用が生み出され、その結果として経済成長や産業構造の転換が期待される可能性が生まれる。では、世界における日本での起業状況はどうだろうか? 各国の起業活動率 TEA(Total Entrepreneurship Activity) 起業活動率、TEA(Total Entrepreneurship Activ
このブログでも以前フリーランサー(個人事業主)について紹介しています。日本では最近フリーランサーが「ノマドワーカー」という風に呼ばれたりして、注目を浴びています。従来のフリーランサーの様に「雇われずに働く」という他に、フリーランサーであっても、誰かに雇われてる会社員であっても、モバイル機器やネットを活用して「場所にとらわれずに自由に働く」といういう意味もあります。 フリーランサーという働き方は、大昔からあるわけですが、技術や通信サービス、デバイスの発達により、「場所にとらわれずに自由に働く」という働き方が、以前よりも簡単になって来たのは新しい感じですね。 しかしながら、フリーランサーのおかれている立場というのは簡単な物ではありません。私が3月9日に出版したノマドと社畜という本の中では、イギリスの実態を紹介しています。 イギリスと同じくノマド先進国であるアメリカは日本よりも早く労働が自由化さ
以下の文章は、Fred Wilson による The Darwinian Evolution of Startup Hubs の日本語訳である。 今週末は Internet Week(ロンドン旅行のためほとんど参加し損ねた)と Disrupt NYC(今週断続的に参加するつもり)がニューヨークである。スタートアップハブとしてのニューヨークの進化は、私にとって非常に気がかりなことだ。そこでスタートアップハブの進化について書こうと考えた。 この理論は、私はスタートアップハブのダーウィン的進化と呼んでいるが、別に目新しいものではないし、私が考え出したものではないのは確かだ。けれど、皆に理解してもらうのが重要だから、ブログを書く次第である。 シリコンバレーを研究すると、木が高く育ち、その種が落ちて新しい木が生え、やがて古い木は成熟して成長を止めるか、悪ければ病気や腐敗で死にいたるが、新しい木が古い
このブログは、僕がこれまでWebサービスをいくつか作ってきて、失敗したり成功したり色々体験していることをまとめています。 シリコンバレーに来て30日が経ちました。不思議なもので、日本にいるときは、やれFacebookが上場するだの、Pintarestが流行ってるだの、情報としては耳に入ってきてはしているけれど、どこか遠い世界の話のように感じられていたのが、こちらにいると、すぐそばで起こっている身近なものとしてとらえることができて、文字だけでは伝わらない雰囲気や空気感がたしかに存在しているのだと感じます。 最初の1週間は、家や車、ネット環境、その他日常の生活に必要なものを揃えるのに時間を取られて、生活のペースを掴むのに四苦八苦しましたが、ようやく落ち着いて来たので、最近感じていることをつらつらと書いてみたいと思います。 ( Mountain View一望 ) 1. 最高の気候、最高の環境 こ
人口の多さや高いスマートフォン普及率など、ビジネスにとって魅力的な市場アジア。最近はシンガポール、中国、インドネシアなどアジア圏で起業したいと考える人、またその環境に関する情報も出回るようになってきた。そんなアジアのスタートアップエコシステムは良くも悪くもまだまだこれから。 一方起業家の聖地とされる シリコンバレーには60年以上の歴史がある。そこには長い歳月を経て生まれたエコシステムがあり、その結果として未だに世界中のどこよりも優秀な人材や才能が集まる場所であり続けてる。ところが、シリコンバレーを目指して事業を始めた外国人起業家が、労働VISAが降りず強制送還される例が少なくない。今回紹介する「Blueseed」は、そんな問題へのソリューション提供を試みる。 船の上のスタートアップ環境「Blueseed」 シリコンバレーの「近く」で、世界中の優秀な起業家を集めようというプロジェクトが「Bl
瀧口範子さんの記事に生越さんが噛み付いている。 ジンガもフェイスブックも──腐敗する有望IPO企業 | 瀧口範子 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 昔からそうだし、そうあるべきだよ この批判は半分しか当たっていないように思う。 確かにベンチャー経営者の最重要課題は資金の調達と管理だし、「事業のアイディア」という、単位が小さすぎ不定型すぎて売り物にならないモノを「会社」というある程度の大きさの箱に入れて固定化し、金融商品として流通させるのがベンチャー・ファイナンスであることも間違いない。 でも一方で、シリコンバレーには深く根付いた「ユートピア的理想主義」の文化があり、この「地域的気分」に合わない企業は周囲の支持を得づらいという面もある。支持を得て人気の出た会社には、よい人が集まってくるし、資金も調達しやすくなり、地元プレスからもよい評価を得て、ユーザーも集めやすくな
引き続き、プレスリリース関連の話しです。 前回の内容に沿って、プレスリリースが作成できたとしましょう。では次はどうするかというと、メディアの方々にコンタクトをして記事を書いてもらうように働きかける必要があります。 方法はざっくり3つあって、1つはWireとよばれるプレスリリース配信サービスを使って幅広く配信すること。2つ目は、自社で記者さんのメーリングリストを作成・管理しておいて(気のきいた)マスメールで配信すること。3つ目は、実際のプレスリリース配信前に、個別の記者さんに事前連絡することです。もちろんこれらを組み合わせたハイブリッドもよく行われます。 それぞれ長所短所はありますが、どの方法が掲載率が最も高いかは恐らく明らかでしょう。3つ目の事前個別連絡です。 この行動は通常、ピッチと呼ばれます。(ピッチは他でもよく使われる言葉ですが、まあ要は売り込みですね) コンタクトの方法として最も使
最近、情報系スタートアップに共通する話題に「海をどう越えるか」というものがある。サイバーエージェント・ベンチャーズのインキュベーションオフィス「Startups Base Camp」で活動する、写真共有のコミュニケーションプラットフォーム「Snapeee」運営のマインドパレットと、Amebaにてフィーチャーフォン向けモバイルゲームを展開するワンオブゼムの2社も、そんな世界戦略を見据えて着々と準備を進めている。 両社は、それぞれ数億円規模の資金を調達したばかりのスタートアップ。彼らは具体的にどのような未来を海外進出に求めているのだろうか?ワンオブゼム 代表取締役社長CEOの武石幸之助氏とマインドパレット 代表取締役社長の小林佑次氏、そして彼らに出資するサイバーエージェント・ベンチャーズ マネージャーの海老原秀幸氏に聞いた。 --お2人はすでに海外進出に向けての準備中だと聞きました。具体的には
日本から遠く離れたブータンの首都ティンプーで、地元の障害者によって製造された日本風のパンを販売するパン屋がある。ブータン社会で偏見の対象になっている障害者の「“声”になる運命を感じた」というブータン人女性ジグメ・ウォンモさん(46)が日本の支援を得て立ち上げた店だ。素朴なパンの味は、地元住民や外国人を魅了する人気店へと成長しつつある。(ティンプー 田北真樹子) パンの香ばしい匂いが食欲を刺激する。「ビッグベーカリー」のショーケースには食パンやテーブルロール、カレーパンなどが並ぶ。聴覚障害や軽度の知的障害を持つ21~34歳の6人が、JICA(国際協力機構)シニアボランティアの久世陽子さん(42)の指導のもとで焼き上げた商品だ。2009年7月に開店し、約30種類のパンのほか、焼き菓子やケーキまで幅広いレパートリーを備える。 ビッグベーカリーの経営者であるウォンモさんは、パン職人の6人が卒業した
日本の方々にお会いする際に頻繁に話題に上がるのが、「海外展開を成功させる為の秘訣」である。つい先日、日本から来られたメディアの方からのインタビュー時に余談として尋ねられたり、約2週間程前に日本出張へ行った際に多くの方に聞かれたりもした。 その度に自分でも真剣に考えるようになり、それなりの結論が出たので、まとめておく事にした。 日本の企業が海外展開を成功させる為には、実に数多くのハードルを乗り越えなければならない。しかしながら、よくよく考えてみると成功のカギは最終的には下記の3つのポイントに集約されるのではないかと思われる。 ポイント1: プロダクトの品質一つ目は単純明快、商品やサービスのクオリティである。やはり、海外展開の第一歩は、日本国内だけではなく海外の消費者に使ってもらえて、喜んでもらえるプロダクトを提供する事から始まる。 ただ、一口に「品質が良い」と言っても漠然としすぎているので、
このところ、日本のスタートアップのシリコンバレー展開をテーマにBlogを書いているが、日本が夏休みということもあり、日本からいろんな人がシリコンバレーにやってくる。 仕事が終わった後や休みの日に都合がつく限り会って話を伺っているのだが、日本でのシリコンバレー進出熱は相当高まっているのを肌で感じられることができて面白い。以前このBlogでも書いたように、来ないで悩むよりは来てから自分の目で見て考えたほうが良い、ということを実践しようとしている人たちも多く見られるようになった。 そういう人たちにとっては、GoogleやFacebook、Twitterのオフィスを訪問するよりも役に立つのが、先を走っている人たちが何をやっているかを見ることだと思う。 余談だが、上記の有名ベンチャーに関係する日本人の知人が、「こちらでイベントがあったりすると、訪問の依頼が増えてきて、そのアレンジだけで大変になってく
本日、8/9でbtrax(ビートラックス社)は、7周年を迎える。2004年の同日より未熟な経営者のわずかなる自己資金を元手に細々としたスタートを切り、多くの紆余曲折を経て、何とか現在までたどり着く事が出来た。 それはなにより、辛抱強くサポートしてくれた優秀なスタッフの皆と、他ではないクライアントの方々のご協力おかげであり、文章には出来ないぐらい感謝している。また、かなりきわどい局面をくぐり抜けられたのは、己の悪運の強さだと自負している。 一説にはアメリカでの新規ビジネスの約半数が3年以内に倒産し、その内で6年以上続く会社は半分以下と言われている。恐らく7年続く会社は新規立ち上げ数全体の2割りに満たないと推測される。また、厳密な意味での”スタートアップ” は設立6年以内の会社の事を指し、それ以上はEmerging Companyと呼んだりもする。 運良くここまでたどり着いた事を記念し、この7
毎年恒例のその年に消滅したスタートアップシリーズ。毎年多くのスタートアップがその姿を消している中で、2020年はとびきり厳しい一年となった。 パンデミックにより人々の生活は一変し、旅行やリテールに代表されるサービスへのニーズが極端に下がった。それに伴い、ニューノーマル下で必要頻度の下がったサービスは停止を余儀なくされている。 難易度Maxの2020年を生き残れなかったスタートアップ10社中9社が消滅すると言われるスタートアップゲームの中でも、おそらく2020年はこれまでと比較にならないレベルの難易度の高さ。パンデミックによるロックダウンにより業務を停止したり、サービスを縮小せざるをえない状況に追い込まれた。 また、VCからの投資の縮小も加わり、難易度はMaxレベル。実際に多くのスタートアップはスタッフのレイオフを進め、必死に生き残りにかけている。 それでは2020年に生き残れなかったスター
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