子供の頃、世界地図を見てアフリカやアラブ地域の国境が直線で引かれていることに違和感を感じた。 それがサイクス=ピコ協定などを根拠とする、欧米列強の作為の所産であることを知ったのは後のことです。 今回本書を読んで、その見方もまた一面的であることを思い知らされました。 第一にサイクス=ピコ協定はセーヴル条約、ローザンヌ条約とセットで考える必要があること。 第二にこれらのセットは中東問題の原因というだけでなく、もともと中東問題に対する解決策でもあったこと。 以上のことがよくわかりました。 また現在のシリアなどの問題を考えるとき、オスマン帝国の衰退を背景にして考える必要があることを痛感しました。 そういった意味では、新井政美「オスマン帝国はなぜ崩壊したのか」とあわせて読むとよさそうです。 昔から続くロシアとトルコの対立、欧米列強のパワーバランスのための介入、そういったものが大きく影響するようです。