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書評に関するsuiyoのブックマーク (39)

  • [書評] ピンクとグレー(加藤シゲアキ): 極東ブログ

    最初に映画のほうを見た。行定勲監督・蓬莱竜太脚映画『ピンクとグレー』である。今思うと幸いであった。映画のキャッチフレーズである「幕開けから62分後の衝撃! 」についてはなにも知らなかったからである。 映画の手法としてはおそらく、そう特異なものでもないだろう。映画の作り手の側の、ある意図がこのような手法を採っているのだろうということは、自分なりにも理解できた。映画ツウ的な映画であろう。と同時に、70代に少年時代を過ごした私の世代にとってはATG的な映像の作りにも似ていて共感していた。 先に触れたキャッチフレーズにあるように、映画作品としては、というか興行的には大きなどんでん返しがある。『シックスセンス』のような最後のどんでん返しというより、映画の中盤にあり、その部分は、いわゆるネタバレに属するのだろうと思う。その意味では以下は、ネタバレを含む。 だが、これはネタバレというより、現代小説

    [書評] ピンクとグレー(加藤シゲアキ): 極東ブログ
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    suiyo 2016/09/26
  • [書評] 最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常(二宮敦人): 極東ブログ

    中三女子がサブカル風でカラフルなペーパーバックスのを夢中になって読んでいるので、何?、ときいたら、の背を見せてくれた。『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常 二宮敦人』(参照)とある。 東京藝大の学生のルポルタージュ。そのテーマだけで面白いのだろうなと推測できる。ふと『もやしもん』も連想する。ヤボを承知の上で、「面白い?」ときいてみると、「面白い」と答えてくれたのだが、すでに読書に夢中でさらに話をしてくるふうはない。読後にまたきいてみるかと思ったが、数時間後には読み終えていた。「読む?」と私は聞かれる番である。「読むよ」と受け取る。 読んだ。面白いを通り越して、若い人には劇薬的なだった。自分が中学生のころにこれを読んでいたらやばいことになっていた、かもしれない。このに描かれる東京藝大生の純粋でフリーダムな生き方に、確実に魅了されていただろう。 若いってこういうことができる時

    [書評] 最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常(二宮敦人): 極東ブログ
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    suiyo 2016/09/20
  • [書評] オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (ロバート・D・エルドリッヂ): 極東ブログ

    エルドリッヂ博士による新書『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』(参照)は、なかなか感慨深いものだった。新書でありながらテーマが盛りだくさんで、「第一章 国立大学から海兵隊へ」では彼のパーソナル・ヒストリーと関連させつつも、歴史学の点からは彼の主著の一つともいえる『沖縄問題の起源―戦後日米関係における沖縄1945‐1952』(参照)の要約的側面があった。逆に言えば、この部分に史学的な関心を持つのであれば先の専門書を読めばよいだろうし、現代史の学者には必読だろう。 また「第三章 トモダチ作戦と防災協力の展開」は、彼の社会的実務家をよく表現していた。この三章を読むと、エルドリッヂ博士の信条の根幹にあるものがよく伝わってくる。日政治家が学ぶところが多いはずだ。特に大都市の首長となる人には欠かせない知識でもあるだろう。その面では別途、『次の大震災に備えるために―アメリカ海兵隊の「トモダチ作戦

    [書評] オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (ロバート・D・エルドリッヂ): 極東ブログ
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    suiyo 2016/07/16
    オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (ロバート・D・エルドリッヂ): エルドリッヂ博士による新書『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』(参照)は、なかなか感慨深いものだった。新書でありながらテーマが...
  • [書評] 脳が壊れた(鈴木大介): 極東ブログ

    通常の生活もままならない最貧困の状況に陥った若い女性が、主にセックスワークで日銭を稼ぐようすを描くことで関心を呼んだルポルタージュ『最貧困女子』(参照)の若手のジャーナリスト鈴木大介氏が、41歳のときに脳梗塞で倒れた。書『脳が壊れた』(参照)は、その渦中、その後、そしてリハビリを経て、高次脳機能障害に陥った状態を描いている。昨年の『新潮45』の10月号・11月号に掲載された『41歳、脳梗塞になりました』を加筆してまとめたものだ。よく描けているので、文章からは高次脳機能障害の様子は見られない。 若い人でも脳梗塞になることもある。その結果、死に至ったり、各種の大きな障害が残ったり、また外見から見えづらい高次脳機能障害を残すことがある。私も自著にも記したが、こうした問題に関心があり、この種類のやよく読むようにしている。 鈴木氏の脳梗塞は右脳に発生したらしい。人間の脳は機能的に左右分担をしてお

    [書評] 脳が壊れた(鈴木大介): 極東ブログ
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    suiyo 2016/06/29
    脳が壊れた(鈴木大介): 通常の生活もままならない最貧困の状況に陥った若い女性が、主にセックスワークで日銭を稼ぐようすを描くことで関心を呼んだルポルタージュ『最貧困女子』(参照)の若手のジャーナリスト鈴...
  • [書評] さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ(永田カビ): 極東ブログ

    すでに知っている人は知っているだろうし、むしろ私のほうがこの作品についてのこれまでのネットの話題を知らないほうの人なんだが、ようするにコミックである。内容は表題通りで、あまりにさびしすぎてレズ風俗に言った女性の物語である、というと簡単そうだが、概ね28歳の女性実話である。私は見ていないのだがすでに大筋はネットでも公開されているが、それは「女が女とあれこれできるお店へ行った話」となっているようで、書籍化にあたりタイトルを再考したのだろう。 そういうことなんだが、話がまとまらないが、これ、コミックでなくて、文章のレポだったらどうだろうかとも少し思った。 実際には見やすく丁寧に書かれたコミックなので読みやすい。コマの割りや、ルポなのだが脚色も上手でいい作品になっている。 で、評価に困惑した。よい作品なのである。で、どう評論していいのか、とても困惑した。もちろん、評論なんかしなくたっていい。よい作

    [書評] さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ(永田カビ): 極東ブログ
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    suiyo 2016/06/27
    さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ(長田カビ): すでに知っている人は知っているだろうし、むしろ私のほうがこの作品についてのこれまでのネットの話題を知らないほうの人なんだが、ようするにコミックである。
  • [書評] 公明党 創価学会との50年の軌跡(薬師寺克行): 極東ブログ

    二大政党という幻想が戦後日史から崩れ去って久しいとまでは言えないが、国民間の相反する利益代表が二つの政党によって国民の信を問うという、希望、というのだろうか、かつての期待といったものは、すでに失われてしまった、と見てよいだろう。こう言うと批判も多いと思うが、現実的に見て、民主党政権はそうした戦後史の期待をかなりみごとにゴミ箱に投げ込んでしまった。 そうであるなら、どうするべきか。普通に考えれば、一定規模の第三極の登場とともに、政治の世界の再編成が進むべきだろう。しかしここでも率直に言えば、みんなの党の末路を見るまでもなく、そうした期待も虚しくなった。それどころか、そもそも二大政党という期待自体、他の先進国でも崩れつつある。そしてそこで台頭してきているのは、具体的な政治プランを持たない反発的な衆愚主義のようなもの、である。日もそこに向かうのだろうか。 そうしたなか、現実の権力政党である自

    [書評] 公明党 創価学会との50年の軌跡(薬師寺克行): 極東ブログ
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    suiyo 2016/05/20
    公明党 創価学会との50年の軌跡(薬師寺克行): 二大政党という幻想が戦後日本史から崩れ去って久しいとまでは言えないが、国民間の相反する利益代表が二つの政党によって国民の信を問うという、希望、というのだ...
  • [書評] 外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (白井恭弘): 極東ブログ

    2月に立川にジュンク堂が出来たので見に行った。ちょうどエレベーターを出てその脇の書棚が英語学習関連のものだった。なんとなく、入り口から迷路に入りましたという感じで順に見ていくと、このジャンルのがけっこうあるので驚いた。世の中、英語を学習しようとした人が増えたのだろう。当然、いろいろな学習法もある。 もう30年以上も前だが、大学院にいたおり、英語教授法という主題のコースを受講したことがある。吉沢美穂先生と升川潔先生が講師で、そこからもわかるように「ベーシック・イングリッシュ」を使ったGDM(グレーディッド・ダイレクト・メソッド)が基だった。吉沢先生はその背景から応用を詳しく説明された。優れたメソッドであるというよりも、吉沢先生という優れた教師のキャラクターに圧倒されたものだった。ああできたらいいなと教育実習のときに真似て自分の至らなさを実感した。升川先生とはその語、理論背景を含め、意味論

    [書評] 外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (白井恭弘): 極東ブログ
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    suiyo 2016/04/12
    外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (白井恭弘): 2月に立川にジュンク堂が出来たので見に行った。ちょうどエレベーターを出てその脇の書棚が英語学習関連のものだった。なんとなく、入り口から迷路に入りま...
  • [書評] 「フランス人ママ記者、東京で子育てする」西村・ペプ・カリン著: 極東ブログ

    現代日育児事情にはさまざまな側面がある。地域や所得、教育による違いも大きい。全体像を知ることは難しいし、それには統計的な調査も必要になる。というのは確かなところだが、それはさておき、日人男性と結婚したフランス人女性が日で出産して子育てをするという、ちょっと珍しい事例の物語を読むと、むしろその特異な事例によって現代日育児事情というものの質がくっきり見えてくる。フランス人から日育児を見ると、その異なる視点から、日人としては「ああ、育児というものは、こういうものなんだなあ」というのがはっきりわかる。そして、ちょっとびっくりする。つまり、このはとても面白い。これから結婚や出産を考える日の若い世代の人は、一読しておくと良いと思う。 話は帯にあるように、「日人マンガ家と結婚したフランス人ママ記者による日仏子育て比較エッセイ」である。夫は、このの表紙や挿絵を描いているじゃんぽ

    [書評] 「フランス人ママ記者、東京で子育てする」西村・ペプ・カリン著: 極東ブログ
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    suiyo 2016/04/07
    「フランス人ママ記者、東京で子育てする」西村・ペプ・カリン著: 現代日本の育児事情にはさまざまな側面がある。地域や所得、教育による違いも大きい。全体像を知ることは難しいし、それには統計的な調査も必要にな
  • [書評] 「荒地の恋」(ねじめ正一): 極東ブログ

    いつからか文学賞というものには関心を失った。新しい作家のメディア的な登場やベテラン作家の新作などにも概ね関心なくした。ねじめ正一の作品はどうか。詩については彼が各種文学賞を取る以前の作品から知っていた。吉隆明の講演集などをよく出していた弓立社『脳膜メンマ』も当時に読んだ。『高円寺純情商店街』のような小説を書くことも知っていた。村上春樹と同年代なので、つまり彼らが三十代前半だったころから知っていた。概ね私より10歳年上の世代である。それでもねじめさんの作品にはそれほど関心もなく、彼の書いた『荒地の恋』も知らなかった。そうした間抜けな状態で、5回ものにドラマ化されたものをぼんやり見始めた。落とし穴に落ちたように引きずり込まれた。 見始めは、田村隆一と北村太郎の痴話話というのも面白いかもしれないというくらいの思いだった。冒頭、朝日新聞勤め北村と鮎川信夫が、鮎川の外車に乗っている光景は、あの時代

    [書評] 「荒地の恋」(ねじめ正一): 極東ブログ
    suiyo
    suiyo 2016/02/15
    「荒地の恋」(ねじめ正一): いつからか文学賞というものには関心を失った。新しい作家のメディア的な登場やベテラン作家の新作などにも概ね関心なくした。ねじめ正一の作品はどうか。詩については彼が各種文学賞を
  • [書評] ぼくがいま、死について思うこと(椎名誠): 極東ブログ

    どう生きたらよいのか。そう迷うとき、何気なく実践していることがある。自分より10歳くらい年上の人の生き方を見つめることだ。身近な人や著名人など。10年の差は、時代にもそれなりに差が生まれるので、自分の参考にならないことも多いが、それでも自分の年齢と10年以内だと近すぎるし、10年以上だと遠い。とはいえ、それで割り切れるものでもなく、曖昧なレンジのなかで、その人はどう生きているのかと考えることはある。そして、そろそろ、どう死ぬのかということも。 そうした思いに比較的に日常的に浸されている自分としては、cakesの連載(参照)でも取り上げた椎名誠さんが死についてどう考えているかは気になるので、表題につられて「ぼくがいま、死について思うこと」を読んでみた。というか、文庫で見かけたので読んだ。 実はこう言うとなんだが、椎名さんなら、死についてその歳まで考えたことがない、そして世界の見聞の広い椎名

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    suiyo 2016/01/22
    ぼくがいま、死について思うこと(椎名誠): どう生きたらよいのか。そう迷うとき、何気なく実践していることがある。自分より10歳くらい年上の人の生き方を見つめることだ。身近な人や著名人など。10年の差は、時... #
  • [書評] イスラム国(著・アブドルバーリ・アトワーン、監修・中田考、翻訳・春日雄宇): 極東ブログ

    ではこの夏に翻訳されただが、原著の出版から遅れたわけでもない。扱っているのは表題通り「イスラム国」である。この表題が選ばれている理由も同書の初めに書かれている。全体として、比較的最近までの範囲で、イスラム国を知る上で重要となる基礎的な情報がバランスよくまとまっている好著である。 なにより、この種類のにありがちな、西側社会への偏向あるいはその裏側の憎悪といった情感的な色合いが引き寄せる文脈からはエレガントに脱していることは、沈着な書の文体からもわかるだろう。陰謀論的な記述もない。池上彰ならもっと手際よくまとめたかもしれないとも思えるかもしれないが、日人向けのわかりやすさから抜け落ちそうな微妙なディテールに含蓄深い陰影がある。 イスラム国をめぐる現状の混乱の、元凶とまではいえないが、大きな要因には、米国の中近東戦略と、フランスの中近東戦略がある。西側として見ると二国とも同一のように

    [書評] イスラム国(著・アブドルバーリ・アトワーン、監修・中田考、翻訳・春日雄宇): 極東ブログ
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    suiyo 2015/11/18
    イスラム国(著・アブドルバーリ・アトワーン、監修・中田考、翻訳・春日雄宇):  日本ではこの夏に翻訳された本だが、原著の出版から遅れたわけでもない。扱っているのは表題通り「イスラム国」である。この表題が
  • [書評] 湯川博士、原爆投下を知っていたのですか――〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生(藤原章生): 極東ブログ

    [書評] 湯川博士、原爆投下を知っていたのですか――〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生(藤原章生) 不思議なだったと言ってみて、少し違う。次に、恐ろしいだったと言ってみて、やはり少し違う。その中間に位置するだろうかと考えて、再び、沼に沈むような感覚に襲われる。 普通に考えれば、書名は副題の「〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生」だけでよかっただろう。なぜなら書の表向きの価値は、「森一久」の評伝的な部分にあるからだ。その意味ではむしろ、書名の「湯川博士、原爆投下を知っていたのですか」は、無理に人の関心を煽っている印象がある。だが、ここでまた戸惑うのだ。この書名は正しいのだろうと。つまり、「湯川秀樹は事前に原爆投下を知っていたのか?」 もちろん、それが荒唐無稽に聞こえることはわかるし、それゆえにある種の困惑が伴う。 書は冒頭で、新聞記者でもある著者・藤原章生と森一久との最後の出

    [書評] 湯川博士、原爆投下を知っていたのですか――〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生(藤原章生): 極東ブログ
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    suiyo 2015/09/22
    湯川博士、原爆投下を知っていたのですか――〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生(藤原章生):  不思議な本だったと言ってみて、少し違う。次に、恐ろしい本だったと言ってみて、やはり少し違う。その中間に位
  • [書評] セラピスト(最相葉月): 極東ブログ

    「積ん読」という言葉は英語にはないらしいという話題を先日見かけ、いや、英米人でも、未読のを積んでおくことはあるだろうと思い、いやいや、「積ん読」というのはあれで、未読でもない、一種の読書形態なんだよなと思い返し、そして、そういえば、と積ん読山から既読山に目を移して、『セラピスト(最相葉月)』(参照)を見かけ、うーんと呻ってしばし。 何を思ったかというと、ブログに書こうかと思いつつ、まだ書いてないのだった。こういうはなんというのだろか。「未ブログ読」だろうか。 『セラピスト(最相葉月)』は、「心の病」に現代日人が向き合うとき、向き合われる側――それがつまり「セラピスト」――はどのようにノンフィクション的に描くことができるだろうか、というである。まあ、とりあえずそう言ってよいだろ。の概要にも「心の病いは、どのように治るのか。『絶対音感』『星新一』の著者が問う、心の治療の在り方。うつ

    [書評] セラピスト(最相葉月): 極東ブログ
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    suiyo 2015/09/18
    セラピスト(最相葉月):  「積ん読」という言葉は英語にはないらしいという話題を先日見かけ、いや、英米人でも、未読の本を積んでおくことはあるだろうと思い、いやいや、「積ん読」というのはあれで、未読でもな
  • [書評] 数学の大統一に挑む(エドワード・フレンケル・著、青木薫・訳): 極東ブログ

    たまに現代数学を読むことにしている。付け加えると、理解できなくても、時代の最先端の数学を解説しようとしたは読むことにしている。それでどうかというと、正直なところ、たいていはさっぱりわからない。 同じことは物理学や生物学・医学についても言える。ただ、そうした「わからない」に向き合うのを諦めちゃうのが、なんとなくいやだなと思っている。この、エドワード・フレンケル・著『数学の大統一に挑む』も同じ。めっちゃ、現代数学である。もうこれは無理だろくらいの敷居の高さである。でもちょっと手にとってみたい気分にさせるのは、青木薫さんの翻訳だからだ。日語として読みやすい。内容を理解している彼女ならではの自然さがある。もう25年以上も前になるが、彼女が物理学のアカデミズムから翻訳者なろうとしているころ、数学はお得意だったのでしょと聞いたことがある。ラグランジアンなんかも難しいと思わなかったと答えていた

    [書評] 数学の大統一に挑む(エドワード・フレンケル・著、青木薫・訳): 極東ブログ
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    suiyo 2015/09/13
    数学の大統一に挑む(エドワード・フレンケル・著、青木薫・訳):  たまに現代数学の本を読むことにしている。付け加えると、理解できなくても、時代の最先端の数学を解説しようとした本は読むことにしている。それ
  • [書評] トンデモ地方議員の問題(相川俊英): 極東ブログ

    ポリタスの特集企画『「統一地方選2015」私たちの選択』が始まった(参照)、と昨日思った。そして、私の主張も近く公開されると思う、と昨日この原稿を書き始めたものの、なんか虚脱して放置していて今朝を迎えたら、すでポリタスに上がっていた(参照)。なので、今回の統一地方選挙について、私の主張をここで繰り返すこともないかとも思った。 今回のポリタス特集の最初の記事は特集開始にふさわしく「「選んではいけないNG候補」の見分け方 5箇条」(参照)とあり、読み始めてから、あれ?と気がついた。『トンデモ地方議員の問題』(参照)を書かれた相川俊英氏の主張であった。 当然、同書に含まれる内容と同じ項目だが、ポリタス掲載のほうがやや詳しい。同書では「選ぶべき地方議員の四つのポイント」もあるが、基調はポリタス掲載に織り込まれているように受け取った。 その同書であるが、まず書籍として面白い。紹介にある「号泣会見、セ

    [書評] トンデモ地方議員の問題(相川俊英): 極東ブログ
    suiyo
    suiyo 2015/04/12
    トンデモ地方議員の問題(相川俊英):  ポリタスの特集企画『「統一地方選2015」私たちの選択』が始まった(参照)、と昨日思った。そして、私の主張も近く公開されると思う、と昨日この原稿を書き始めたものの、... #
  • [書評] MASTERキートン Reマスター(浦沢直樹・長崎尚志): 極東ブログ

    たぶん、私は平賀キートンと同い年である。同じというのはそのくらいかもしれない。違いはある。ありすぎる。が、別段、彼と自分を重ねたいわけでもない。そこに描かれた人生の出来事が奇妙にシンクロしてわかる部分が多いくらいに思う。 恐らくストリーを作っている長崎尚志が私より一つ年上なので、そういう設定になっているのだろう、浦沢直樹は彼より5歳若く、10代の娘がいる。まあしかし、概ね、同じ世代である。 つまり、20年が過ぎて、歳を取ったのである。男が歳を取ったのである。そのことの意味は、娘が大人になっていくということである。もちろん、娘がいるなら、ということではあるが。 20年ぶりの「Reマスター」が連載の再開を意味しているのか、わからない。一読した印象では旧作の世界を上手に繋げているようにも思える。そうした期待に応えているようにも見える。だが、この連作にはReマスターされる一貫したテーマがある。「娘

    [書評] MASTERキートン Reマスター(浦沢直樹・長崎尚志): 極東ブログ
    suiyo
    suiyo 2015/04/08
    MASTERキートン Reマスター(浦沢直樹・長崎尚志):  たぶん、私は平賀キートンと同い年である。同じというのはそのくらいかもしれない。違いはある。ありすぎる。が、別段、彼と自分を重ねたいわけでもない...
  • [書評] 寄り道ふらふら外国語(黒田龍之助): 極東ブログ

    このところロシア語学習関連で見かけることが多い黒田龍之助氏の書籍で、たまたま見かけて読んだのが『寄り道ふらふら外国語』(参照)だった。表題どおり、氏が専門のロシア語以外にいろいろと学んだ外国語について触れているエッセイ集である。当初、フランス語について雑誌に連載したものの、それに合わせて他の言語をまとめて一冊にしたものだと言う。 ロシア文学者がフランス語習得必須なのは、翻訳書であればトルストイやドストエフスキーなどを読んできた私にも理解できる。実際、書では、トルストイ『戦争と平和』でフランス語で書かれている原文が掲載されている。ロシアを知るにはフランス語は欠かせない。 加えて、ロシアの近代化ではドイツの影響が多いことから、ドイツ語もほぼ必須である。と考えてみれば、ロシア語の専門である氏がその三か国語を習得していても当然だろう。 加えて英語も戦後日教育を受けた点から普通に習得しているだ

    [書評] 寄り道ふらふら外国語(黒田龍之助): 極東ブログ
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    suiyo 2015/03/10
    寄り道ふらふら外国語(黒田龍之助):  このところロシア語学習関連で見かけることが多い黒田龍之助氏の書籍で、たまたま見かけて読んだのが『寄り道ふらふら外国語』(参照)だった。表題どおり、氏が専門のロシア
  • [書評] ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(ジョシュア・フォア): 極東ブログ

    どちらかというと偶然に読んだだったか、これがとてつもなく面白かった。どう面白いのかというと、多面的だが、まさにこういうが読みたかったという思いにズバリと突き刺さるだった。 内容は邦題が示しているように、ごく平凡な若者が、一年間の記憶術の訓練で全米記憶力チャンピオンになるまでの話を軸に、記憶術がどういうものか、また人間の記憶能力とは何か、ということだ。実に上手に描き出されている。私にとって一番面白かった点は、記憶術の歴史に関連する部分ではあったが、その他の面も面白かった。 正確にいうと、著者は「ごく平凡な若者」とは言えない。邦題どおり「 ごく平凡な記憶力」だったとは言えるだろう。だが、書にも触れられているが、全米記憶力チャンピオンは国際的にはど田舎と言っていい。欧州のチャンピオン達にはかなわない。もっともそれでも全米一は驚くべき記憶力である。 というわけで、書は、記憶術のハウツー

    [書評] ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(ジョシュア・フォア): 極東ブログ
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    suiyo 2015/03/03
    ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(ジョシュア・フォア):  どちらかというと偶然に読んだ本だったか、これがとてつもなく面白かった。どう面白いのかというと、多面的だが、まさに
  • [書評] 昨日のカレー、明日のパン(木皿泉): 極東ブログ

    そういえば、小説のほうの『昨日のカレー、明日のパン』(参照)も読んでいた。面白かったかといえば面白かったし、感動したかといえば感動した。ただ、読み始める当初奇妙な戸惑いがあったのと、読後に奇妙な戸惑いがあった。しばらく、さて、どうしたものかなと思っていた。とりあえず書いておこうという感じである。 当初の戸惑いは、NHKドラマの差違である。このドラマについては以前書いた(参照)。文句なく傑作と言っていいだろうと思う。書籍のほうはその原作であり、しかもNHKドラマのほうは同じく木皿泉の作品である。あるいはあるかに見える。だがここに、微妙にあるいはもしかすると決定的な違いがある。原作と他メディアによる再現・再構成という関係ではない。 cakesのほうに『のだめカンタービレ』の書評を先日書いたが(参照)、この作品では明確にコミックが原作で、それにドラマとアニメが続いた。ドラマもアニメもよく出来た作

    [書評] 昨日のカレー、明日のパン(木皿泉): 極東ブログ
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    suiyo 2015/02/28
    昨日のカレー、明日のパン(木皿泉):  そういえば、小説のほうの『昨日のカレー、明日のパン』(参照)も読んでいた。面白かったかといえば面白かったし、感動したかといえば感動した。ただ、読み始める当初奇妙な
  • [書評] ベートーヴェンとベートホーフェン―神話の終り(石井宏): 極東ブログ

    先日、同著者の『反音楽史―さらば、ベートーヴェン』(参照)を読んで面白かったのと、最近ベートーヴェンに関心を持っていたので『ベートーヴェンとベートホーフェン―神話の終り』(参照)も読んでみた。これも面白かった。基的に前著のトーンでベートーヴェンの評伝をまとめてみたという感じのである。 表題のベートーヴェンとベートホーフェンだが、日ではベートーヴェンと呼ばれているが、当時はどちかというとベートホーフェンではないか含みがある。そして二枚の想像画を組み合わせた表紙の絵が、その二つを暗示している。簡単に言えば、楽聖と言われるベートーヴェンと、なにかと人生に苦労したコンプレックス多きベートホーフェンである。余談だが、先日、ドイツ人の演奏家の話を聞いていたら、発音はベートーヴェンに聞こえた。現代では「ベートーヴェン」という表記でもいいんじゃないかと思えた。 ベートーヴェンの実像はこういうもんだっ

    [書評] ベートーヴェンとベートホーフェン―神話の終り(石井宏): 極東ブログ
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    suiyo 2015/01/26
    ベートーヴェンとベートホーフェン―神話の終り(石井宏):  先日、同著者の『反音楽史―さらば、ベートーヴェン』(参照)を読んで面白かったのと、最近ベートーヴェンに関心を持っていたので『ベートーヴェンとベ