「ソフトウエア・エンジニアリングという言葉は知っているが,ソフトウエア・ファクトリーとは何だろう」と疑問を持つ読者もいるかもしれない。ソフトウエア・ファクトリーとは「ソフトウエア・エンジニアリングを,システム開発・運用・保守の現場でシステマチックに実践するための組織形態の一つ」である。要は,品質の高いソフトウエアを,効率よく,現場が疲弊することなく開発・保守するための仕組みである。 この言葉が誕生したのは,今から40年ほど前にさかのぼる。実は,ソフトウエア・エンジニアリングという言葉とほぼ同じ時期に誕生しているのだ。1968年,ドイツ・ガルミッシュにおいて「第1回 ソフトウエア・エンジニアリング・ワークショップ」が開かれ,「ソフトウエア・エンジニアリング」という語が初めて誕生した。このとき,ソフトウエアの再利用によって開発生産性と品質を向上するための組織を指す「ソフトウエア・ファクトリー」