神保町の匠 - 親父が偉いと息子はグレる――か？
著者: 森 於菟 出版社: みすず書房 参考税込価格: 2,730円 ISBN-10: 4622080834 ISBN-13: 978-4622080831 本書の著者、森於菟は知る人ぞ知る、文豪森鴎外の長男である。著者自身もたびたび言及するように、まことにこの父は偉大であった。４０年にも及ぶ公職＝官にあっては陸軍軍医総監（中将相当）、陸軍省医務局長、さらには帝室博物館長、帝国美術院長等々を歴任。家庭にあっても、勤め帰りの嫌な顔１つ家族に見せることなく、語学の家庭教師から衛生上の忠告者、日曜大工までを引受けた。しかも夜や休日の寸暇を惜しんでの執筆。筆の上の肩書も、作家、歌人、翻訳家、評論家、編集者…。この万能の巨人の別名が「日本のゲーテ」だった。 鴎外の生まれるちょうど３０年前に没した海の向こうの当のゲーテもまた、作家、詩人、自然科学者のほか、ワイマール公国の宰相までを務めている。
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文筆家・大竹昭子の書評ブログ : 2010年11月30日