自業自得だと言えば自業自得だし、同情する余地もないと言えばその通りだ。日本でフィリピンクラブに通い詰め、女性を追い掛けてフィリピンに渡り、金の切れ目が縁の切れ目で、ついにはホームレスになってしまった男たち。こうした日本人を行政用語では「困窮邦人」と呼ぶそうだ。フィリピンでホームレス…。自己責任以外のなにものでもないかもしれないが、そうした姿の向こうに現代社会の何かが見えるのではないか。日刊マニラ新聞記者の著者は、何年もかけてフィリピンの困窮邦人たちを丹念に取材していく。 工場の非正規労働の空虚さから逃げ出した男。50歳を超えて新聞配達をすることに疲れ果て、偽装結婚で訪れたフィリピンに夢を求めてしまった男。まじめ一筋だったけれどフィリピン女性の優しさにおぼれてしまった男。15万円もあれば日本へ帰れるのだが、日本大使館は渡航費用を出してくれず、家族とは絶縁して援助はしてくれない。確かに、日本の